ネスレ、コーヒーのトレーサビリティを強化──農園からカップまで

ネスレは、コーヒーのトレーサビリティ強化のために、同社コーヒーブランド「ゾエガス」をIBMフード・トラストブロックチェーンに追加し、レインフォレスト・アライアンスと提携した。

パッケージのQRコードをスキャン

食品大手ネスレ(Nestlé)は4月6日、最初にブログでこのニュースを発表した。スウェーデンで販売しているコーヒーブランド「ゾエガス(Zoégas)」の「Summer 2020」製品のパッケージにQRコードを追加する。

QRコードをスキャンすると、消費者はコーヒー豆の収穫から店頭に並ぶまでの経路をIBMの食品追跡ブロックチェーンに保存されている書類とともに確認できる。

IBMフード・トラスト(IBM Food Trust)は、データの一部を持続可能な製品認証のための非営利団体レインフォレスト・アライアンス(Rainforest Alliance)から、残りをネスレから取得する。

以前のQRコードを使った同様のキャンペーンでは、ネスレは第三者機関のサプライチェーンデータを「制限していた」。今回、ネスレはスタンスを変えた。

「これまで、現行システムと並行してIBMフード・トラストを社内に展開する最善の方法をテストしてきた」とネスレの広報担当者はCoinDeskに語った。

「エンド・ツー・エンドの閲覧のために弊社データを他の組織とつなげる前に、まずは展開について確実な知識とノウハウのベースを築く必要があった」

コーヒー業界のマーケティングトレンド

3年間に及ぶIBMフード・トラストのトライアルと、2つのオープンデータ製品の発売を経て、ネスレは、フード・トラストは多くのデータソースを扱うことができると認識した。これはレインフォレスト・アライアンスも共有しているとネスレの広報担当者は語った。

「レインフォレスト・アライアンスは、弊社のコーヒー製品の多くを認証しているが、この情報を消費者に異なる方法で提供するためのイノベーションにも非常に積極的だった」

IBMフード・トラストは「かなり完成度が高く」、レインフォレスト・アライアンスは時間と努力を惜しまなかったため、今回のコラボレーションには技術的な問題はあまりなかったとネスレは語った。

レインフォレスト・アライアンスは、サプライチェーンソフトウエア企業チェーンポイント(ChainPoint)のクライアントとして、ブロックチェーンシステムでコーヒー製品を追跡した経験を持っていた(チェーンポイントは、オープンソース・プロトコルのチェーンポイントとは無関係)。

我々は、レインフォレスト・アライアンスに、チェーンポイントはネスレとのコラボレーションで使われたかどうかについて質問したが、回答はまだない。

前回のブロックチェーンを使った試験的な取り組みによって、ネスレは「ゾエガス」がスウェーデン国民に「共感される」ことに自信を持ったと広報担当者は語った。また、前回のキャンペーンでQRコードをスキャンした消費者の数を公表することは控えたが、「これまでのところ、多くの人が積極的に関与している」と述べた。

ブロックチェーンで追跡可能なコーヒーは、コーヒー業界、そして世界中で見られるマーケティングトレンドだ。

スターバックスは、消費者に「農園からカップまで」の情報を提供するためにマイクロソフトのアズール(Azure)ブロックチェーンと連携している。一方、メディチ・ベンチャーズ(Medici Ventures)が支援するグレインチェーン(GrainChain)とIBMは1月、コーヒー追跡アプリをリリースした。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Susanne Nilsson/Flickr
原文:Nestlé Partners With Rainforest Alliance to Trace Coffee Beans