スマートコントラクトが、ホンジュラスのコーヒービジネスを変える

スマートコントラクトが、ホンジュラスのコーヒービジネスを変える

農業に特化したブロックチェーン・プラットフォーム「グレインチェーン(GrainChain)」は、ホンジュラスのコーヒー・ビジネスを変えようとしている。

コーヒー豆農家を支援

システムのローンチは2019年9月24日(UTC)に発表された。年間700万袋を輸出するホンジュラスのコーヒー豆のわずか2%からのスタートだが、これは「オーガニック・フェアトレード市場の10~15%」に相当するとグレインチェーンのCEO、ルイス・マシアス(Luis Macias)氏は語った。同氏は取扱量を拡大したいと考えている。

グレインチェーンのホンジュラスでの展開は、コーヒーとテクノロジーの双方において、ブロックチェーンをグローバル・マーケットに適応させるものとなる。

5月、スターバックス(Starbucks)は、農場からコーヒーポットまで、コーヒー豆の履歴を把握したいと望む消費者のために、マイクロソフトのアジュール(Azure)・ブロックチェーンを使ってグローバル・コーヒー・サプライチェーンを追跡すると発表した。

スターバックスのモバイルアプリには味や香りの特徴、産地情報が表示されるが、グレインチェーンのスマートコントラクト・ベースのエコシステムはコーヒー生産の現場の資金調達を対象としている。

グレインチェーンのプラットフォームは、コーヒー豆を栽培しているホンジュラスの農家と、豆を世界中に送る輸出企業をつなぐ。

「これは、銀行、保険会社、ベンダー、協同組合、輸出企業、そして農家のすべてがひとつのプラットフォームに参加することができる初めてのソリューション」とプラットフォームに参加しているローン保証企業コンフィアザ・ホンジュラ(Confianza Hondura)の代表、フランシスコ・フォルタン(Francisco Fortin)氏は述べた。

「サプライチェーンの信頼を高めることになると感じている」

農家と銀行のより強い信頼関係

マシアス氏はまず、ホンジュラスの金融機関に自身で「トップセールス」を行った。銀行は、季節産業であるコーヒー農家にとって資金を調達するために欠かせない存在。

「銀行は農家への融資方法についてのソリューションを探していた。しかし銀行は融資を認めたとしても、まだ、その方法がわからなかった」とマシアス氏は述べた。

マシアス氏はすでにテキサス州とメキシコの農場で、コーヒー豆からバイヤーまでを追跡するグレインチェーンのシステムをテストしていた。2つの事例はモデルケースとして銀行に提示された。銀行はすぐに同社のシステムを採用した。

農家もプロジェクトに参加している。ローンチ時の参加者にはフェアトレード・コーヒー、オーガニック・スペシャルティ・コーヒーの生産者が含まれているとマシアス氏は語った。

「コーヒー生産の社会的側面に変化をもたらそうとしている人々が参加している」

農家は、銀行とより強い信頼関係を結べることを喜んだ。これは、より多くの融資を行おうとする銀行からの新たな資金の動きを示した。

「技術的な支援と資金を持つと、多くのことが変化する」と農家のジャーマン・デルシド(German Delcid)氏は語った。

「資金調達へのアクセスと支払いの保証は、我々の農場に大きな影響を与えると感じている」

グレインチェーンの最大の課題は輸出企業とバイヤー。マシアス氏によると、彼らはスマートコントラクト・システムが彼らのサプライチェーンにもたらすメリットをすぐには理解できなかった。

しかし、中間業者の排除、融資の確保と返済、管理費の削減など、テクノロジーによるコスト節減の可能性を理解すると、彼らもプラットフォームに参加した。

輸出企業はテクノロジーを利用すると、さらなる利益の可能性があることに気づいたとマシアス氏は述べた。ブロックチェーンの各ステップ自体がマーケティングにおけるキャッチフレーズとなった。

「イタリアやマイアミのバイヤーに、経由したルート、使用した材料、肥料など、コーヒーのすべての履歴を正確に示すことができれば、大きなマーケティング・チャンスになると彼らは考えた」

古い慣習を排除

マシアス氏によると、グレインチェーンのプラットフォームでは、農家はモバイルアプリを使ってコーヒー生産の様子を記録する。各ステークホルダーは、システムを使ってコーヒー豆を追跡できる。

このシステムのスマートコントラクトでは、各ステークホルダーに希望額を正確に支払う。そこには人間がしばしば持つ潜在的な偏見を考慮する余地はない。

この透明性は、マシアス氏が以前は市場に浸透していたと語る、非公式な「握手だけで行うような」取引とは対照的。例えば、農家はコーヒーを5ドルで売ることに同意しても、中間業者の意見を受け、結局、収入ははるかに少なくなってしまう。これは、ひいては農家の銀行融資の返済能力に影響を与える。

「システムは、人間の関与によって避けることができるものとは大きく異なる」とマシアス氏。

グレインチェーンのリアルタイム記録管理システムによって、農家は生産高を確認し、融資資金の使用状況をコントロールできるようになり、銀行は農家への融資をさらに望むようになる。

「我々の高いトレーサビリティとシステムに備わっている物流アプリケーションによって、実際に進行していることを見ることができるようになった」とマシアス氏は語った。

インターネットから程遠いホンジュラスの農家とコンセプト重視のブロックチェーンは不思議な組み合わせと、コーヒー農家のデルシド氏は真っ先に認めた。

しかし、同氏は、それでもグレインチェーンのプラットフォームはコーヒーのエコシステム全体に新たな信頼レベルを生み出すと楽観している。

「我々はテクノロジーについての説明を受けた」とデルシド氏はコインデスクに語った。

「複雑そうだが、結果を楽しみにしている」

翻訳:Emi Nishida
編集:増田隆幸
写真:Coffee farmer image via Flickr
原文:GrainChain’s Smart Contracts Unite Honduras Coffee Business

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