バイドゥ傘下の動画配信、2つの技術で進める次世代サービス

世界最大級の動画プラットフォーム「アイチーイー(iQiyi、愛奇芸)」は、ユーザー体験を向上させるために、帯域幅の共有を可能にするパブリックブロックチェーンと提携した。

今回の提携でアイチーイーは、「New Kind of Network (NKN)」のピアツーピアインフラを使って、バッファリングスピードの向上、エネルギー消費とネットワーク混雑の軽減を図ると4月14日、NKNはプレスリリースで述べた。

提携は、ブロックチェーンとエッジコンピューティングという2つの新しい技術的イノベーションの開発と相互運用性における前進となったとNKNは記した。

「NKNの主眼は、帯域幅の共有とインターネット接続を実現するネットワークインフラにある」とNKNの共同創業者Zheng “Bruce” Li氏はCoinDeskにメールで語った。

「エッジコンピューティングは、ビデオストリーミング、ゲームストリーミング、高速自律運転、AR/VR、IoTに不可欠であり、ブロックチェーンはその中で重要な役割を果たすことができる」とLi氏は述べた。

応答時間の改善と帯域幅の節約のために使われるエッジコンピューティングは、分散システムを使ってコンピューター利用とデータ保存を需要が発生した場所に近いところで行う。

4月1日に行われたテストでは、チームはキャッシュの大幅な節約を確認した。キャッシュとは情報を一時的に保存し、表示スピードを上げる技術を言う。

ウィキペディアによると、アイチーイーは2010年4月、中国のインターネット大手バイドゥ(Baidu)によって設立され、今では5億人以上のユーザーと月間60億時間近くの視聴時間を誇る。

アイチーイーは、プラットフォーム上で稼働しているサードパーティー製CDN(コンテンツ配信ネットワーク)ソフトウエアを展開・管理する「マイクロ・ホスティング・ネットワーク・マネジメント」を行うために、今、NKNのブロックチェーンを統合している。

CDNとは、ユーザーの地理的な場所、Webサーバーやコンテンツ配信サーバーの位置情報に基づいて、Webコンテンツをユーザーに配信する分散サーバーシステムのこと。

NKNのブロックチェーンは、プルーフ・オブ・リレイ(PoR:proof-of-relay)と呼ばれるマイニングアルゴリズムを使用し、少数の固定データパケットを「証明」としてランダムに選択した後、それを他のノードに送信して、支払いや報酬を得る。

NKNのブロックチェーンは数百万ノードまで拡大するポテンシャルがあり、すでに世界中で最大2万のノードが稼働していると同社は述べた。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Baidu-Owned Video Streaming Giant iQiyi Taps Public Blockchain for Performance Boost