アリババ、アマゾン、テスラ、トヨタ──GWに読みたい金融・経済界の自伝・伝記6選

2020年のゴールデンウィーク、 #STAYHOME の掛け声の下、家で過ごしている人は多いはず。既に映像作品を紹介したので、今回は読書派に向けて、投資や金融界の著名人の自伝や伝記を集めた。長期休暇で家にいる人は、読んでみてはどうだろうか(画像からはAmazonのKindle版ページに飛べます)。

リーマンにも負けなかったヘッジファンド創業者にとっての「原則」──レイ・ダリオ著『PRINCIPLES』 人生と仕事の原則

『PRINCIPLES』(日本経済新聞出版社、レイ・ダリオ著)は、世界最大級、18兆円規模のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツを設立したレイ・ダリオ氏が「原則」について述べた一冊で、世界中でベストセラーとなっている。ダリオ氏の生い立ちに始まり、人生や仕事の原則を語った本書は、世界で100万部を超えて読まれている。稀代の投資家がどのように生まれ、どのような原則で生きているのだろうか。

これを読めばカジノで勝てる?──エドワード・ソープ著『天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す』

『天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す(上・下)』(ダイヤモンド社、エドワード・ソープ著)は、MITで数学講師だったとき、カジノのブラックジャックの必勝法を編み出し、2日間で資金を2倍にする実績カジノや金融市場で数学を用いて勝つ方法を見出したというソープ氏の自伝だ。数学的手法で金融市場や金融商品を分析し、商品や投資手法などを生み出す「クオンツ」の始祖の一人とも言われるというソープ氏の人生とは?

「エブリシング・ストアを作る」──ブラッド・ストーン著『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』

ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌のシニアライターであるブラッド・ストーンが手掛けた『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(日経BP社、ブラッド・ストーン著)は、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスについて、その生い立ちから、アマゾンの起業、その経過まで、壮大な「野望」を実現していくさまに迫っている。もはやアマゾンをオンライン書店と呼ぶ人はいないだろう。「どんなものでも買えるお店(エブリシング・ストア)を作る」という氏の野望は果たして実現されるのか。されているのか。

アシュリー・バンス著『イーロン・マスク 未来を創る男』

宇宙ロケット、電気自動車など未来を常につくり続けるビジョナリー、イーロン・マスク氏に、テクノロジー分野に強いライター・作家であるバンス氏が迫った本書『イーロン・マスク 未来を創る男』(アシュリー・バンス著、講談社)。マスク氏の過去についても掘り下げられており、人によっては「イメージとは裏腹」と感じるかもしれないし、「だからあれだけ壮大な目標を掲げているのか」と思うかもしれない。本書の面白さはすなわち氏のユニークさでもある。

孫正義氏も認めた稀代の経営者──張燕著『ジャック・マー アリババの経営哲学』

ソフトバンクグループの孫正義社長が会って5分間で2000万ドルを投資したことでも知られるジャック・マー氏が創業したアリババ・グループ。アリババは2014年にニューヨーク証券取引市場に上場、時価総額で25兆円にも上る世界有数の企業だ。本書『ジャック・マー アリババの経営哲学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン社、張燕著)は、その社長の哲学に迫った一冊。ビジネスや生活、成長、マネジメントなどの「哲学」を軸に章が組み立てられ、2019年の誕生日に引退したマー氏の思想、そして生き様に触れられる。

創業家生まれの御曹司がゆえの社長ではない──片山修著『豊田章男』

よく知られるようにトヨタ自動車のトップは常に豊田家の人間が務めたわけではない。現在、第11代社長である豊田章男氏は、豊田の姓を持つ6人目の社長だ。創業家に生まれた御曹司であるがゆえの葛藤、プレッシャーを乗り越え、世界最大級の自動車メーカーを率いる氏を、ある役員は“突然変異”と評するという(本書「はじめに」より)。氏がどんな環境で生まれ、何を変え、なぜ支持されるのか。日本を代表する企業トップの実像に迫った本書『豊田章男』(片山修著、東洋経済新報社)は、週刊東洋経済の人気連載をまとめた一冊。日本のビジネスパーソンにとっては特に学びが多いといえよう。

今回紹介した本の中には、ページも多く読みごたえのあるものも含まれている。だがKindleなど電子書籍なら、到着を待たずにすぐ読み始められる。緊急事態宣言が延長され、外出自粛は継続を余儀なくされそうだ。自宅で過ごす時間をせっかくなら有意義な読書に使い、ビジネスや投資、資産運用に役立ててみるのも悪くない。

文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:kampong studio / Shuttestock.com