コロナ禍で「ファイナンスアプリ」成長──日本はダウンロード2割増、米国は株取引の利用時間8割アップ【調査】

新型コロナウイルス感染拡大を受け、世界中でロックダウンや外出自粛要請などの措置が取られたことで、ファイナンスアプリの活用が進んだようだ。

モバイル市場データと分析プラットフォームを提供するApp Annieが世界9ヵ国で調査を実施したところ、日本のファイナンスアプリの平均ダウンロード数では、2020年1月から3月の期間で約20%増えたことが分かった。App Annieは「トップランキングの1位の『PayPay』と2位の『d払い』がキャンペーンを実施していたこともダウンロード数増加に影響していると考えられます」としている。

しかし、米国ではアプリの株取引の利用時間が80%増加、韓国などでもファイナンスアプリの利用時間が伸びている。こうしたことから、世界中でモバイルを利用してお金の管理や投資などを行う人が増えているといえそうだ。

日本のファイナンスアプリの週平均は?

App Annie「2020年4月のダウンロードアプリトップ15」

5月28日に発表されたこの調査の対象9ヵ国は、日本、中国、米国、韓国、ドイツ、英国、スペイン、フランス、イタリア。

このうち日本について見てみよう。2020年4月のダウンロードアプリトップ15をみると、銀行系のアプリが前月比で順位を上げている傾向にある。新しくランクインした「ゆうちょ通帳アプリ」は、2020年2月末にスタートしたばかりだ。

App Annieは「外出を控えたことで店舗でのATMの利用が減り、スマートフォンで口座の残高や入出金明細を確認するシーンが増えたこと」が考えられるとしたほか、株式取引ができるアプリやビットコインに関するアプリの利用も増加しているとも指摘している。

1位は韓国──12月末と比較した「利用時間」増加率

世界のファイナンスアプリの平均利用時間を見てみよう。2019年12月29日週の1週間と、2020年3月および4月(4月18日まで)のピーク週を比較したところ、最も増加率が高かったのは韓国で、3月29日週が最も多く、90%利用時間が増加したという。

日本は韓国に次いで多く、3月1日週に85%増加している。なお米国は4月5日週が最も多く、利用率は55%増加している。

米国では株取引アプリの利用時間が80%増

株取引が日本よりも盛んなイメージのある米国で特徴的なのは、株取引が可能なアプリトップ10の利用時間が伸びたことだ。2020年1月の第1週から3月22日週までの期間で、利用時間が80%も増加したという。

App Annieは「ファイナンスアプリは、新年の予算編成や決議、財務上の取引増加により、1月に利用時間が上昇するという季節性の傾向」があると説明した上で、「ロックダウンによる景気減退の時期に、消費者が株式市場についての情報を入手する機会が増えたことが示唆」されると分析している。

なお前述の期間のうち、利用時間が最も多かったアプリは「Robinhood」。手数料なしの株取引ができることから近年利用者が増加している。App Annieは消費者の利用目的として、「必ずしも投資や取引を行っているだけではなく、株式・金融市場や、仮想通貨、企業などの動向を確認するためにアプリを利用をしている可能性」もあるとコメントしている。

文・編集:濱田 優
画像:Aon Khanisorn / Shutterstock.com