NTTデータ、三菱UFJ銀など7社が貿易取引をブロックチェーンでデジタル化する新会社に出資【トレードファイナンス】

NTTデータ、三菱商事、三菱UFJ銀行など7社は10月27日、貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営する株式会社トレードワルツへの共同出資に合意したことを明らかにした。他に参加したのは、豊田通商、東京海上日動火災保険、兼松、損害保険ジャパン。

NTTデータが開発した貿易情報連携プラットフォーム「トレードワルツ」とは

「TradeWaltz」はNTTデータが開発した貿易情報連携プラットフォームで、ブロックチェーン技術を活用している。

商品を輸出入する貿易取引では、業務の過程で紙の書類作成や確認などにコストがかかっており、業界の課題となっている。関係者が複数にわたるため、商品や情報を迅速、正確に受け渡すための仕組みづくりも課題として認識されている。

こうした課題を解決するために、2017年8月に業界横断のコンソーシアムが発足。NTTデータが事務局を務め、商社・銀行・保険・船会社などの関係者と共に、デジタル技術を活用した貿易業務の処理効率化、安全性の向上などについて議論していた。NTTデータは、ここでの検討を踏まえて貿易情報連携プラットフォームTradeWaltzを開発してきた。

「作業量を最大50%程度削減できる」

TradeWaltzでは、貿易書類を単にスキャンやOCRとして保存・授受するのではなく、構造化データとして企業間で共有し、分散台帳に蓄積する。これによってスマートデータとして活用できるようになり、AML対応や特恵関税適用申告に必要な原産地証明書類の処理などが効率化される。

TradeWaltzがない貿易取引の図 (NTTデータ リリースより)
トレードワルツ
TradeWaltzの導入で貿易業務が一元管理できるという(NTTデータ リリースより)

NTTデータによれば、TradeWaltzが実用化すれば、貿易に関わるすべての業務を一元的に電子データで管理することができるようになり、貿易業務の作業量を“最大50%程度”削減できる見込みだという。TradeWaltzの運営・開発・管理は、2020年4月に設立したトレードワルツが担う。

今後については、まず貿易業務の各種プロセスの中に、TradeWaltzを順次導入し、必要な機能の追加やシステムの強化する。将来的には、貿易文書の電子化を検討している国内外の政府機関やサービスプロバイダーと連携し、ASEANをはじめとした世界の貿易業務のデジタル化も視野に入れている。

トレードワルツのWebサイトによると、2021年度に貿易取引の完全ペーパーレス化実現、22年度には、物流情報連携サービスやトレードコンプライアンス向け情報提供サービスを機能として備えた各種情報連携によるシングルウィンドウ化を実現するという。

今回の出資について三菱UFJ銀行の執行役員 決済ビジネス本部長、真鍋宜剛氏は「MUFGはTradeWaltzのプラットフォームを通じた安心・安全な貿易金融および貿易決済の電子化に取り組んでいくことにより、多数の地域と国にまたがるお客様の輸出入業務の拡大とプロセスの効率化およびスピード向上に貢献」するとコメント。

またNTTデータの取締役常務執行役員、松永恒氏は「世界的なデジタル化の中でも重要な貿易の領域において、ブロックチェーン技術を用いた革新的なプラットフォームであるTradeWaltzを、業界横断各社の知見を結集して世に送り出せたことを大変うれしく思います」などと述べている。

文・編集:濱田 優
画像:NTTデータ リリースより