スタンダードチャータード銀、デジタル資産の基盤を構築──独自決済トークンも開発か:関係者

ロンドンのスタンダードチャータード銀行は、複数の暗号資産(仮想通貨)取引所を組み合わせて、機関投資家市場に向けたデジタル資産取引プラットフォームを構築していく。同計画に詳しい2人の関係者への取材で分かった。

スタンダードチャータード銀行の暗号資産取引グループは、大手店頭取引(OTC)トレーダー5社と4つの取引所で構成され、イーサリアムベースの決済トークンも含むと、関係者はCoinDeskに語った。

同関係者によると、このプロジェクトには、LMAXとErisXが参加する。この他に同プロジェクトをサポートしているのは、スタンダードチャータード銀行が投資しているスイスのカストディ・プロバイダーのメタコ(METACO)。同じく同行が投資しているイギリスのトレーディングテクノロジー・プロバイダーのコバルト(Cobalt)だ。

スタンダードチャータード銀行と、グループに参加するとされた企業はすべて、コメントを控えた。

「スタンダードチャータード銀行と、大手のデジタル資産トレーダー5社、そして4つの取引所が、この新しい事業を始めようとしている。最初のテスト取引は来月になるだろう。最終的にデジタル資産業界の10大取引所が参加することになる」(関係者)

独自の決済トークンを開発

関係者によると、スタンダードチャータード銀行の暗号資産取引プラットフォームで使われる決済トークンは、イーサリアムのERC-20規格に基づくものになる。

システムは、先行するシルバーゲイト銀行(Silvergate Bank)の取引所ネットワーク(SEN)と同等の、機関投資家に焦点をあてたものになると関係者は述べた。

「法定通貨を担保とする独自トークンを開発しており、ステーブルコインのテザー(USDT)に相当するものになることを望んでいる。ただし、トークン化された担保またはお金が、スタンダードチャータード銀行、JPモルガン・チェース、ドイツ銀行のような適切な銀行の取引口座に保管されることが違っている」(関係者)

暗号資産取引サービスに参入する銀行

スタンダードチャータード銀行のイノベーション部門、SCベンチャーズ(SC Ventures)はこの夏、機関投資家向けの暗号資産カストディ・プロジェクトに取り組んでいると報じられた。同行は、アンチマネーロンダリング(AML)ソリューションをはじめ、複数の暗号資産関連プロジェクトに加わっている。12月7日、オンラインイベントでスタンダードチャータード銀行のビル・ウィンターズ(Bill Winters)CEOは、発表の準備をしていると述べた。

「スタンダードチャータード銀行は、このプロジェクトに長年取り組んでおり、暗号資産業界の大手と連携している」ともう1人の関係者はCoinDeskの取材で答えた。「非常にシリアスなもので、概念実証(PoC)ではない。すべてのチェックとコンプライアンスを満たしており、驚くような名前の企業が参加している」

かつては暗号資産と距離を置いていた大手銀行は、急速にこうしたアイデアを実行しつつある。スペイン第2の銀行BBVAは、暗号資産の取引とカストディサービスを2021年初めにもスイスからスタートさせると伝えられた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:スタンダードチャータード銀行(Shutterstock)
原文:Standard Chartered Bank to Launch Crypto Trading for Institutional Investors: Sources