24✕24ピクセルのNFTアート「クリプトパンク」、約7900万円で取引

小さなピクセルアートが、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)で売買された。取引額は605イーサリアム、日本円に換算すると7900万円。

1月24日、クリプトパンク(CryptoPunk)の中の1作品が驚くような価格で売買された。購入したのは、デジタルグッズやデジタルアートなどのコレクションに投資するための自律分散型組織(DAO)「フラミンゴダオ(FlamingoDAO)」だ。

クリプトパンク(CryptoPunk):1万の小さな(24✕24ピクセル)デジタルキャラクター画像から構成されるデジタルアート・コレクション。1つ1つの所有権がイーサリアムブロックチェーンに記録されている。初のノンファンジブル・トークン(NFT)アート作品と言われる。

クリプトパンクは2017年にノンファンジブルトークン(NFT)のパイオニア作品として登場し、イーサリアムを使ったアート作品のコレクターたちから注目を集めている。今回売買されたようなエイリアンのキャラクターは9体しか存在しない。

※ノンファンジブル・トークン(NFT):コピーできない唯一性をもつトークンで、所有権を表すことができる。例えば、1ビットコインは、どの1ビットコインでも同じ価値(ファンジブル)だが、NFTはそれぞれが固有の価値を持つため1対1で交換することはできない(ノンファンジブル)。

今回の作品は現時点で、1万体のクリプトパンクのなかで最も高い価格で取引されたと、フラミンゴダオ・コミュニティーの代表者であるプリヤンカ・デサイ(Priyanka Desai)氏は語った。

「母に教えると、『え???』という感じだった」(デサイ氏)

「パンク2890は605イーサリアム(76万1888.57ドル)で0x6611feから0x24c5ebに売却された」

NFTはデジタル財産の未来

フラミンゴダオは約40人のメンバーで構成され、4800イーサリアム(約7億円)の資金を運用している。

貴重な「Autoglyohs(イーサリアムブロックチェーン上で作られたアート作品)」や全米プロバスケットボール(NBA)の選手をデジタルコレクションにした「NBA Top Shot」カードなどを含む数百のNFTと、さまざまな仮想空間に存在する土地を保有しているという。

今回取引されたNFTアート「クリプトパンク 2890」は24日に、匿名のオーナーが売りに出した。デザイ氏によると、この貴重なチャンスに参加しようというフラミンゴダオの決断は、主にチャットアプリのディスコード(Discord)を使って「25分でまとめられた」という。

「多くの人がNFTに対して依然、懐疑的な考えを持っていることは理解している。しかし、私たちはNFTはデジタルアートだけでなく、あらゆるデジタル財産の未来だと考えている」とフラミンゴダオは声明で述べた。

3年強で75倍のリターン

DeFi(分散型金融)の有名人「@0x_b1」も、今回の作品を競り落とそうと入札に参加。同氏は、この作品には約100万ドル(約1億円)の価値があると考えているとツイートした。

24日に売買が成立したこの作品は2017年7月に8イーサリアムで取引された(当時の相場で2127ドル=約22万円)。以来、その価値はイーサリアムベースで考えると75倍のリターンを生むことになった。

「NFTの歴史において、非常に重要な作品と考えられている」(デザイ氏)

301点のクリプトパンクを所有するこの売り手に対しては、@0x_b1が率いるグループから別のオファーも出されている。売りに出されていないが、もう1つのエイリアンパンク(クリプトパンク 3100)には、666イーサリアム(約87万5000ドル、約9070万円)での購入提案がある。

フラミンゴが新たな投資を通じてどうリターンを得るべきかは、メンバー間で協議が進んでいるという。「作品を展示するために、さまざまなメタバースにギャラリーを作りたいという意見もある」とデサイ氏は述べた。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CryptoPunks(Larva Labs)
|原文:Early CryptoPunk Digital Collectible Sells for $762K in Ether
※編集部より:本文を一部修正して、更新しました。