ビットコインETF、今年中に米国で始まると予想:BitGo CEO

デジタル資産のカストディ(管理・保管)サービスを手がける米BitGoのマイク・ベルシュ氏は26日、日本国内の記者を集めてグループインタビューを行った。ビットコインの価格ボラティリティは今後2、3年、比較的に高い状態が続くが、米国市場ではビットコインETF(上場投資信託)の取引が今年中に始まるだろうとする見方を述べた。

資産運用の米VanEckは過去に、同社が提案するビットコインETFの申請を行ったが、米証券取引委員会(SEC)はそれを却下。VanEckは昨年12月に、提案の再申請を行っている。また、投資会社のヴァルキリーインベストメントは、子会社を通じてビットコインETFをニューヨーク証券取引所に上場する計画を進め、今月にSECに申請書を提出した。

ベルシュ氏は「ビットコインETFが今年中に始まる可能性はあるだろう」とコメントした上で、ビットコインの市場規模は小さいがゆえに、価格ボラティリティは高く、この状況は今後2、3年は続くだろうと話した。市場形成が進んでいき、規模が大きくなれば、価格変動性は低下するだろうと加えた。

ビットコインがETFとして証券取引所で取引されるようになれば、他の多くの資産クラスのように、ビットコインの現物や先物に加えて、ビットコインを裏付けとする投資商品に対する投資家ベースはさらに拡大する可能性がある。

パンデミックとビットコイン

ビットコインの価格が昨年末に向けて高騰した背景として、ベルシュ氏は新型コロナウイルスのパンデミックが加速要素になったとコメント。コロナ対策としての強い金融緩和策が継続するなか、米ドルの価値が将来的に下がっていくのではとの懸念が高まった。多くの資金が株式市場に流れ、主要株式インデックスは過去最高値まで上昇する一方、デジタル資産の重要性も増してきたと述べた。

カリフォルニア工科州立大学を卒業後、ベルシュ氏はエンジニアとして活躍。グーグルでGoogle Chromeの開発などを手がけた後に、BitGoを共同創業し、最高経営責任者(CEO)を兼務している。BitGoは2014年に1200万ドル(約12億円)の資金をシリーズAで調達し、デジタル資産のカストディサービスの開発を進めてきた。2017年にはシリーズBラウンドを実施し、4250万ドル(約43億円)を調達。翌年の2018年には、米ゴールドマン・サックス・グループもBitGoに出資している。

暗号資産の市場規模が拡大するにつれ、カストディのニーズは今後、さらに高まっていくことが予想される。BitGoは現在、世界50カ国で350の顧客企業を抱える。日本では、暗号資産取引所を運営する楽天ウォレットやLINEなどがBitGoのサービスを利用している。

米コインベースやフィデリティ・デジタル・アセッツ(Fidelity Digital Assets)、Baktなどがデジタル資産のカストディ事業でBitGoと競争関係にある。

文:佐藤茂
写真:1月26日のインタビューで答えるBitGoのマイク・ベルシュ(Mike Belshe)氏