米BlockFi、ビットコインファンドを開始──北米で激化する暗号資産運用をめぐる競争

暗号資産(仮想通貨)の金融サービスを手がける米ブロックファイ(BlockFi)が、ビットコインから派生する投資商品(ビットコイン・トラスト)の運営を開始した。北米では機関投資家がビットコインの現物を保有せずに投資できるファンドの組成が進んでいるが、早くも暗号資産の資産運用業界における競争が激化しそうだ。

ブロックファイのビットコイン・トラストの信託報酬は1.75%で、これまで運用資産残高を拡大してきたグレイスケール・インベストメンツが運営するグレイスケール・ビットコイン・トラストのレートより0.25%低い。

ブロックファイのホームページによると、同投資ファンドの運用は5日からスタートする。資産残高はすでに3000万ドル(約31億円)を超えているという。半年から1年後には証券口座を通じて取引できるようになるとブロックファイのザック・プリンス(Zac Prince)CEOは述べた。

北米では、グレイスケールが機関投資家向けのビットコインやイーサリアムの投資ファンド業界をけん引してきたが、ビットワイズ(Bitwise)やオスプレイ・ファンド(Osprey Funds)に加えて、ブロックファイが同領域に参入。機関投資家の投資需要が見込まれるなか、投資商品の運用側における競争はさらに激しくなってきた。

ブロックファイが運用するファンドでは、フィデリティ・デジタル・アセット・サービス(FDAS:Fidelity Digital Asset Services)がカストディ(保管・管理)を担い、デイビス・ポルク&ワードウェル(Davis Polk & Wardwell)が法律顧問を務める。また、同ファンドはコインメトリックス(Coin Metrics)のインデックスと価格データを利用し、グラント・ソントン(Grant Thornton)が監査を行う。

ブロックファイは販売前に今後、ブローカー・ディーラーとの提携を発表する予定だ。

米国で進むビットコインETFの動き

アメリカ市場では、ビットコインETF(上場投資信託)の組成に向けた動きが活発化している。ビットコインの投資信託が、ETFとして証券取引所に上場されるようになれば、機関投資家は暗号資産領域における投資活動を行いやすくなる。

市場では、米証券取引委員会(SEC)が早期にビットコインETFの申請を承認する可能性が高いとの見方が聞かれる。

ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のETFリサーチアナリスト、ジェームズ・セイファート(James Seyffart)氏は、SECがビットコインETFを承認すれば、ブロックファイのビットコイントラストなどの価値が損なわれる可能性があると指摘する。

「ビットコインETFの承認、あるいは少なくとも承認に向けた議論は、2021年とおそらく2022年には起こり得るだろう」とセイファート氏は述べる。

一方、ブロックファイのプリンスCEOは、ビットコインETFを歓迎すると語った。

「ETFが承認される前に、巨額の運用資産を保有するための関係性、流通、資産運用体制を構築している企業は、規制当局の準備が整った時点で、ETFの組成やETFへの移行を進める上で、非常に有利なポジションをとることになる」(プリンスCEO)

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:ザック・プリンスCEO(CoinDesk archives)
|原文BlockFi’s Bitcoin Trust Takes Aim at GBTC