中国フィンテックのアント、デジタル人民元への開発協力をアピール:報道

アリババグループのフィンテック企業、アント・グループ(Ant Group)は、2017年から中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発に加わっていることを明らかにした。同じアリババ傘下の英字新聞「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)」が伝えた。

先週末に福州で開催された「デジタルチャイナ・サミット(Digital China Summit)」で明らかにされた情報によると、アントが支援するオンライン銀行「MYbank」は2017年後半、デジタル人民元を流通させる事業者の一つになったという。

中国人民銀行は2019年6月、消費者が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を使って決済を行うためのアプリを開発するため、アントのモバイルアプリ開発プラットフォームを使い始めた。

アントはその後、2020年末のテストに続いて、2021年には中国全土でデジタル人民元の試験運用を開始した。

中国人民銀行との緊密な関係をアピール

同社が中国人民銀行との緊密な関係をアピールした背景には、中国当局が2020年11月に予定されていた同社の新規株式公開(IPO)を差し止め、より規制を強化するために同社の事業再編を強いたことがある。

これらの動きは、アリババ創業者のジャック・マー(Jack Ma)氏が2020年10月に上海で開催されたイベントで、中国の金融システムと中国政府が支配する銀行業界を批判した後のことだった。

ロイターの分析によると、中国の国有大手銀行6行がアリペイ(Alipay)とウィーチャット・ペイ(WeChat Pay)の決済市場の独占を打破するためにCBDCの使用を後押しするなか、アントはデジタル人民元プロジェクトへの関与を誇示しているという。

一方、ウィーチャット・ペイを提供しているテンセント(Tencent)は同イベントで、2018年2月からデジタル人民元のテストに関わっていることをポスターでアピールした。

同社広報担当者は「テンセントは最初から中国人民銀行のデジタル人民元プロジェクトに参加しており、中国人民銀行のガイダンスに従ってテストを続けていく」とサウスチャイナ・モーニング・ポストに語った。

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Ant Group Has Been Working With China’s Central Bank on Its CBDC Since 2017: Report