米小売大手ターゲットが進めるサプライチェーン向けブロックチェーンプロジェクト

米小売大手ターゲットが進めるサプライチェーン向けブロックチェーンプロジェクト

Brady Dale
公開日:2019年 6月 13日 14:59
更新日:2019年 6月 13日 14:59

アメリカで8番目の規模を誇る小売業者、ターゲット(Target)は、静かにブロックチェーン開発を進めている。

同社は2018年半ば以降、ブロックチェーンを活用したサプライチェーン管理ソリューション「コンセンソース(ConsenSource)」の開発に取り組んできた。最近では、オープンソースコンソーシアム、ハイパーレジャー(Hyperledger)のプロジェクト「グリッド(Grid)」の支援を約束している。グリッドは、サプライチェーン用のフレームワークで、ターゲットのサプライヤーである米大手穀物商社カーギル(Cargill)やテック大手インテル(Intel)、ブロックチェーンスタートアップ、ビットワイズ・ドット・アイオー(Bitwise.io)などが参加している。

ターゲットの採用情報ページによると、同社は現在、分散台帳技術(DLT)関連の業務を促進するために、ブロックチェーンエンジニアやシステム開発者を募集している。

エンジニアの業務内容は、「オープンソース環境で、分散台帳システム、プロトコル、スマートコントラクト、CLI、RESTful APIの開発に取り組み」最近オープンソース化されたコンセンソースとグリッドの開発に貢献することだと求人情報には記載されている

同社アーキテクチャ部門のバイスプレジデント、ジョエル・クラブ(Joel Crabb)氏は、「ターゲットがグリッドを支援し、グリッドのアーキテクチャ内コンポーネントの構築に専念するエンジニアリング・リソースを投入することを私は誇りに思います」と同社のブログに記している。

ターゲットが最近オープンソース化したコンセンソースは、当初、自社ブランドの紙生産に携わるサプライヤーの認証に焦点を当てていた。同社は「森林経営者や認証機関と直接やり取りをしながら」同テクノロジーを研究し、分散台帳上で扱うべきデータを判断することの難しさを学んだとクラブ氏は述べている。

また、同氏は以下のようにもブログに記した。

「ターゲットを含む多くの企業は、オープンソース化こそがエンタープライズ向けブロックチェーンイニシアチブを最大限に生かすと考えている。オープンソースプロジェクトは最初に参加者全員がガバナンスモデルを共同で定義することを必要とする。そのため定義が決まれば、参加者は、より早く、透明度が高く、コスト節約につながるブロックチェーンベースのソリューション開発に専念することができる」

ターゲットのコメントは本記事掲載時までに得ることができなかった。

秘密裏に行われている研究開発

現在に至るまで、ターゲットはそのブロックチェーンイニシアチブをひっそりと進めてきた。同社は2016年に、過去にJPモルガン(JPMorgan)やIBMに在籍していた、アーティ・スリニバサン(Aarthi Srinivasan)氏をパーソナライズ化、機械学習、ブロックチェーン関連のプロダクト・マネジメント部門ディレクターとして迎え入れている。

CoinDeskは、2018年12月、ターゲットがハイパーレジャーを利用した、サプライチェーン製品の開発に取り組んでいるとの情報をハイパーレジャー内の匿名希望の情報提供者から入手した。

ターゲットは、食品やその他アイテムの原産地を追跡する分散アプリケーションを開発している 「ソートゥース・サプライチェーン・プロジェクト(Sawtooth Supply Chain project)」に参画するだろうと同情報提供者は語った。

米大手穀物商社カーギルも同サプライチェーン・プロジェクトに関与している。

ハイパーレジャーを主導するリナックス・ファウンデーション(Linux Foundation)の広報担当者、エミリー・フィッシャー(Emily Fisher)氏は、6月10日(現地時間)、「ターゲットはこれまでにコードを貢献しているが、ハイパーレジャーの加盟企業ではない」と述べている。

ソートゥース・サプライチェーン・プロジェクトは、まだ開発段階にあり、完成からは程遠いものの、コーディング活動は活発に行われている。ソフトウエア開発プラットフォーム、ギットハブ(GitHub)上では、すでに46人のコントリビューターから5000以上のコミットが寄せられている。ギットハブ上にあるコンセンソースのリポジトリによると、プロジェクトには 、インテルが開発したハイパーレジャープロジェクト「ソートゥース(Sawtooth)」用のコードが使用されている。

ターゲットが別のハイパーレジャープロジェクト「インディー(Indy)」の提供するID確認技術を取り込んでいることも特筆に値する。

ソートゥースと肩を並べるハイパーレジャープロジェクトとして、IBMが提案した「ファブリック(Fabric)」が挙げられる。ハイパーレジャープロジェクトの中で最も知名度が高いファブリックは、ターゲットの競合小売業者ウォルマート(Walmart)も参画している、食品追跡ネットワーク「フード・トラスト(Food Trust)」ですでに使用されている。

ターゲットは最新の株主向け年次報告書の中で、サプライチェーンの改善に投資していることを明かしている。

同社は、「在庫やサプライチェーン関連のトランザクションを支えるシステムなどの、メインフレームをベースとしたシステムやミドルウエア製品の多くを近代的なプラットフォームに移行している最中だ」とも述べている。ブロックチェーンやDLTについては言及していなかった。

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Target image via Shutterstock
原文:Retail Giant Target Is Quietly Working on a Blockchain for Supply Chains