バンダイナムコ、ZVCがNFTのdouble jump.tokyoに出資──LINEとブロックチェーン事業連携

ヤフーとLINEを傘下に持つZホールディングス(ZHD)のベンチャーキャピタルと、バンダイナムコ、暗号資産取引サービスのbitFlyerホールディングスが、NFTやブロックチェーンゲーム事業を運営するdouble jump.tokyo(ダブルジャンプ・トウキョウ)に出資した。

double jump.tokyo(DJT:本社・東京新宿区)は9月3日、ZHDのコーポレートベンチャーキャピタルであるZ Venture Capitalに対して第三者割当増資を実施したと発表。バンダイナムコエンターテインメントとバンダイナムコライブクリエイティブ、bitFlyer HoldingsもそれぞれDJTへの出資を行った。

NFT(ノンファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アニメやゲーム、アートなどのコンテンツの固有性や保有を証明することができるもので、NFTを利用した事業は世界的に拡大している。

国内で約8900万人のユーザーを抱えるLINEは、子会社のLVCを通じて、独自のブロックチェーン「LINE Blockchain」と暗号資産「LINK」を開発し、チェーン上で展開されるアプリとデジタルトークンを組み合わせた「トークンエコノミー構想」を進めている。LVCはビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)取引サービスや、NFTの売買を可能にするマーケットプレイスも運営しており、DJTは今後LINEとの連携を深めていく。

楽天、GMO、LINE……大手企業が一気にNFT事業に参入

double jump.tokyoは2018年4月に、ブロックチェーンゲーム開発をコア事業に設立。同社が開発したイーサリアム・ブロックチェーンベースの「My Crypto Heroes」は世界的な人気をおさめた。また、NFT関連事業の拡大も急ピッチに進めており、スクウェア・エニックスやセガと共同でNFTコンテンツを開発する計画を明らかにしている。

NFT市場が拡大を続ける北米市場でも、double jump.tokyoは事業展開を始めている。カナダのDapperLabs社は、独自ブロックチェーンの「Flow」上で、トレーディングカードゲーム「NBA Top Shot」を運営しているが、double jump.tokyoはFlowブロックチェーン上でのNFTとゲーム運用を開始した。

国内では今年、大手上場企業によるNFT事業への参入が相次いでいる。

マネックスグループ傘下で暗号資産取引サービスを手がけるコインチェック(Coincheck)は今年3月、国内では初のとなるNFTマーケットプレイス(ベータ版)を開設。その後、GMOインターネットグループとLINEが同様に、独自のマーケットプレイスを立ち上げ、楽天も2022年春をめどにNFT事業を始める計画を明らかにしている。

また、サイバーエージェントは子会社のCyberZを通じて、NFTコンテンツの開発を進める一方で、メルカリは暗号資産とNFTをあつかう事業開発を進めている。

世界最大級のNFTマーケットプレイスは、北米で人気のOpenSea(オープンシー)だが、同社におけるNFTの販売量は今年3月から8月までの間で、約8倍に増加。海外では、クリプトパンク(CryptoPunk)やBored Ape Yacht ClubPudgy Penguinsなどのコレクションが新たに注目を集めている。

世界のNFT市場をリードする欧米

OpenSeaは3月に、2300万ドル(約25億円)の調達ラウンド(シリーズA)を発表した後、1億ドルの資金調達を実施。事業の拡大を一気に進めている。シリーズBは、米大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツがリードしたが、OpenSeaの同調達ラウンドにおける評価額は15億ドル(約1650億円)に増加したと報じられている。

NFTマーケットプレイスでの取引量が増加する一方、北米や欧州の大手企業がNFTコンテンツを作ったり、購入する動きが活発化している。

イタリアのファッションブランドのドルチェ&ガッバーナは8月に、ベネチアで開催するコレクションでNFTコレクションを発表し、今月から販売を開始。カード大手のVISAは、クリプトパンクの女性画像1点を約15万ドル(約1700万円)で購入している。

|テキスト・編集:佐藤茂
|トップ画像:Shutterstock