コインチェック、10~12月期の営業利益が58%減──NFT取引は増加、ビットコイン急落

マネックスグループは1月31日、10月~12月期(第3四半期)の決算報告を開示した。NFTの取引サービスを含む暗号資産(仮想通貨)事業における営業利益が、前年同期から58%減少したことがわかった。

マネックスは、暗号資産とNFTの取引サービスを手がけるコインチェックを傘下に置いている。同日開示した資料によると、2021年10月~12月期の営業利益に相当する額は、11.18億円となり、前年同期の26.48億円から半減した。同四半期の売上高に相当する営業収益は、前年同期の約40億円から50.51億円に増加。

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主要暗号資産は、11月に下落に転じ、昨年に記録した史上最高値の6万8990ドルを大きく下回り、現在では3万7000ドル近辺を推移している。コインチェックの販売所売買代金は、7月~9月期から10月~12月期で微減となった。

マネックスは、日本、米国、クリプトアセットの主要3セグメントを有している。第3四半期におけるクリプトアセットの営業収益は、3セグメントの中で25%に留まった。上半期はクリプトアセットセグメントの存在感が際立っていた。売上高に相当する営業収益で42%を占め、主要セグメントでトップを走っていた。

広告宣伝費などの費用が増加し、10月~12月期の減益要因の一つとなった。同四半期には、テレビCMなどで約20億円を計上し、前年同期比で9.6倍にのぼっている。

NFT事業の急拡大も、クリプト事業全体の利益を押し上げるまでにはいたっていない。世界需要は昨年、爆発的に増加し、日本国内でもその取引量は増加傾向を続けた。コインチェックが運営するNFTマーケットプレイスにおける取引量は、7月~9月期から10月~12月期で8倍となった。

NFT(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アートやイラスト、写真、アニメ、ゲーム、動画などのコンテンツの固有性を証明することができる。NFTを利用した事業は世界的に拡大している。

コインチェックは2021年にNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」の運営を開始。同年12月に過去最高の出来高を記録し、「2022年1月はそれを上回る想定」(広報)だという。今後、新たな収益の柱となれるかが試されている。

|取材・テキスト:菊池友信
|編集:佐藤茂
|トップ画像:Shutterstock.com