GameFiの中心地を目指す東南アジア

GameFiの中心地を目指す東南アジア

アジアでは、X世代(1965年〜1980年頃生まれ)とY世代(1980年〜1995年頃まで)の親にとって、ビデオゲームは頭を痛ませる問題で、子供との口論の種になりがちだ。

火を吐くドラゴンや魔術が登場するバーチャル世界にティーンエイジャーが浸っていると、両親は、長期的にはほとんど価値をもたらさない活動に子供が時間とお金を浪費しているのではないかと、心配するものであった。

時は流れて2022年。フィリピンのマニラでは、ビデオゲームのプレイヤーにつきまとう悪いイメージが消えたどころか、技術に優れたプレイヤーは、フィリピンという国をデジタル時代へと導く、賢く才覚に優れた起業家として称賛されるようになった。

ビデオゲームプレーヤーに対するそのような好意的な見方は、東南アジア全体で広がっている。このような認識の変化は、GameFiによるところが大きい。

「プレイ・トゥ・アーン(P2E):プレイして稼ぐ型」ゲームとも呼ばれるGameFiは、ブロックチェーンを利用したゲームの金融化である。

ビデオゲームは当初、プレイするために料金を支払うモデルから始まり、フリーミアム(基本的サービスや商品を無料で提供するフリーと、より高度なサービスや商品を有料で提供するプレミアムを組み合わせたモデル)へと移行して行った。

ゲームが生活の糧に

現在、GameFiのプレイヤーたちは、法定通貨へと交換できるデジタル資産を獲得・取引して、日常的な金融取引の足しにすることができる。言い換えると、両親を心配させるいわゆる「ゲーム中毒者」の多くは今や、才能をお金に変え、自分と家族のための持続可能な収入の流れを生み出しているのだ。

GameFiは疑いもなく、東南アジアにとって、重要なゲームチェンジャーであり、現在の経済状況と、高速に拡大するデジタルの普及によって、東南アジアはP2Eモデルにとっての国際的な中心地となる可能性もある。

公式データによると、従来の銀行口座を保有しているのは、フィリピンの成人のわずか約30%。一方、韓国や台湾、日本などの近隣アジア諸国では100%近くの保有率だ。カンボジア、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア諸国も、非銀行利用者の割合が比較的多い。

しかし、暗号資産ウォレットのメタマスク(MetaMask)の利用率トップ15カ国のうち、フィリピンはアクティブユーザー数が最多でトップ。ベトナムは第3位、インドは第3位、インドネシアは9位、タイは10位となっている。このランキングは、東南アジアの多くの人々が、伝統的銀行というルートを迂回して、ウェブ3アプリケーションをスピーディに導入している証拠である。

さらに、東南アジアの多くのプレイヤーたちがP2Eゲームから獲得する収入は、生計を立てるのに十分か、他の収入を大いに補完するものとなっている。この状況は、物価が高く、P2Eが生計を立てるという意味でそれほど重要ではないアメリカなどの国々とは異なる。東南アジアは、GameFiが繁栄するのに肥沃な土壌であり続けるだろう。

このため、私の立ち上げたインフィニティ・ベンチャー・クリプト(Infinity Venture Crypto:IVC)では、7000万ドルの初期資産のかなり大きな部分を、東南アジアに重点を置いた世界的なブロックチェーンプロジェクトの開発資金に分配した。

例えば、830万人以上のプレイヤーを抱え、世界でも最も人気のブロックチェーンゲームの1つとなっているアクシー・インフィニティ(Axie Infinity)は、ベトナムのゲームメーカー、スカイ・メイビス(Sky Mavis)が生み出したもので、フィリピンに最も多くのアクティブユーザーを抱えている。

IVCのポートフォリオに含まれるイールド・ギルド・ゲームズ(Yield Guild Games:YGG)は、フィリピンを拠点としており、ブロックチェーンベースのゲームやバーチャル世界で使われるNFT(ノン・ファンジブル・トークン)に投資するゲームギルド(プレーヤーに必要な資金とツールを提供する協同組合)という自立分散型組織である。

P2Eゲームに参加するためには、プレイヤーはインゲームNFTを獲得する必要があるが、それはしばしば、金銭的に手の届かないものだ。NFTを「スカラー」と呼ばれるコミュニティメンバーに貸し出すことでYGGは、ゲームのスキルを使って追加収入を得たいと思うプレイヤーを、経済的に惹きつけている。多くのプレイヤーが職を失う原因となった新型コロナウイルスも、東南アジアでのP2Eゲームの発展を加速させた。

GameFiの弱点

P2E業界は、東南アジアにおいて猛烈なスピードでスタートを切っているが、先駆者の多くは、その勢いに遅れずについていくのに苦戦している。彼らは、プレイヤーがP2Eゲームにより簡単に参加することを阻み、東南アジアでのGameFiエコシステムの発展の加速を妨げるボトルネックに対処しなければならないのだ。

その1つの例は、スカラーの実績や退会状況を追跡するのに役立つ顧客関係管理(CRM)ソフトウェアの不在である。ギルドやスカラーマネージャーは現在、そのような作業のためにグーグルシートやエクセルを利用する。別の弱点は、獲得したインゲームトークンを、実生活で使うために交換することの難しさだ。

東南アジアの起業家はこのような弱点を誰よりもよく理解しており、その解決のために尽力している。それは、GameFiエコシステムの中心にいるからだけではなく、GameFiの巨大な成長をサポートし、業界が拡大を続けるためには、より優れたソフトウェアが必要なことを認識しているからだ。

ブライアン・ルー(Brian Lu)氏は、インフィニティ・ベンチャー・クリプトの創業パートナーであり、ヘッドライン・アジア(Headline Asia)でもパートナーを務めている。アジア太平洋地域でのビジネス開発で15年の経歴を持ち、ASEAN地域に広範な人脈を有している。アジア太平洋地域の複数の多国籍企業で、アドバイザーやコンサルタントも務める。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:GameFi Is a New Game for Southeast Asia Players

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