リブラに対抗するために「デジタル人民元を準備すべき」:中国人民銀行・前総裁

フェイスブック(Facebook)の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」が可能性と脅威をもたらす中、中国の中央銀行は、国家デジタル通貨計画を再考すべきだ、と中国人民銀行の前総裁は語った。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)の報道によると、中国人民銀行の前総裁の周小川(Zhou Xiaochuan)氏は、今週北京で開催されたイベントで、フェイスブックのリブラは、法定通貨と交換できる「強力な」グローバル仮想通貨が生まれる可能性を示唆していると述べた。

リブラは開発途上国の決済システムの改善に役立つかもしれないが、既存の国際決済システムに脅威を与え、各国の通貨を弱める可能性もあると、周氏は述べている。

同氏は以下のように語った。

「リブラは、従来の国際事業、および決済システムに影響を及ぼすコンセプトを発表した」

この新しいリスクが迫る中、たとえそれが中国にとって大きなリスクでなくても、中国政府は「十分な準備をし、中国元をより強い通貨にする」べきだと同氏は言う。

1つの方法は、香港が民間銀行による香港ドルの発行を認めているように、「民間の事業体」によるデジタル人民元の発行を可能とすることだ。

香港のシステムでは、複数の銀行が米ドル準備金に裏付けられた香港ドル紙幣を発行することができ、事実上の中央銀行である香港金融管理局が米ドルへのペッグを維持している。

サウスチャイナ・モーニング・ポストは、東方証券(オリエント・セキュリティーズ)のシニアアナリストであるChen Dafei氏に見解を求めた。Dafei氏は、周氏のコメントはアリババ(Alibaba)やテンセント(Tencent)のような、既に大規模な決済ネットワークを構築している大手テック企業が、国家デジタル通貨の発行に参画する可能性があることを意味していると解釈した。

周氏は人民銀行の総裁を務めていた時、中国のデジタル通貨開発を支援し、そのローンチは「避けられない」とも述べた。しかし、この取り組みは少なくとも数年前から続けられているが、近々ローンチされる兆しはない。

もしリブラが、現在直面しているさまざまな規制的な問題をよそに前進すれば、この状況は変わるかもしれない。

翻訳:新井朝子
編集:町田優太
写真: Zhou Xiaochuan image via Wikimedia Commons
原文:China Should Prepare Digital Yuan to Counter Facebook Libra: Ex-PBoC Chief