米消費者保護団体、リブラ協会加盟企業に離脱を要請

複数の米消費者保護団体は、リブラ協会(Libra Association)に加盟する28の企業に、フェイスブック(Facebook)が主導する仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」から離脱することを要請した。

「ビジネス、金融、テクノロジー業界、市民社会コミュニティの尊敬される一員であるあなた方に、リブラプロジェクトから集団で手を引くことを呼びかけます」と、オープン・マーケッツ・インスティテュート(Open Markets Institute)やパブリック・シチズン(Public Citizen)、リボルビング・ドア・プロジェクト(Revolving Door Project)、ディマンド・プログレス・エデュケーション・ファンド(Demand Progress Education Fund)が署名した公開書簡には記されている。

これらの団体は、スイス・ジュネーブに拠点を置くリブラ協会が掲げる、金融サービスを世界中17億人の非銀行利用者層に拡大するという目的には同意すると述べつつも、次のように警告した。

「賞賛に値する目標の達成は、目的が実際のところ不透明で、リーダーシップ構造が恐怖に基づいているプロジェクトに、品格を下げられるべきではありません」

彼らの言うところの「恐怖」とは、フェイスブックの大規模なユーザーベースがもたらす影響力に由来するものである。書簡は、2019年7月16日(現地時間)に開催された、上院銀行委員会の公聴会で民主党のブライアン・シャッツ(Brian Schatz)上院議員(ハワイ州)が述べた次の発言を引用している。

「コンソーシアムのメンバーも、この場で投げかけられた質問と似たような疑問を実際には多く抱えており、先へ進むことに大きな疑念を抱いています。しかし、フェイスブックが市場に持つ影響力故に、取り残されたくないと感じているのです」

消費者団体は、ビザ(Visa)、マスターカード(Mastercard)、ペイパル(Paypal)、ウーバー(Uber)などのリブラ協会加盟企業に対して、リーダー格であるフェイスブックに怯えて屈しないことを求め、次のように述べた。

「フェイスブックが強力な企業であり、その市場の支配的地位によって、いくらかの恐怖が蔓延していることを我々は理解しています。しかし、あなた方がこのプロジェクトを集団で離脱すれば、デジタルマネーの創成期が強力な存在による脅威ではなく、公平な規則と民主的熟議に基づくものであるということが示されます」

またこれらの団体は、リブラを去る理由として、リブラが「マネーロンダリングやテロリストへの資金提供、取り付け騒ぎ、システミック・リスク、制裁逃れ、反競争的行為を助長する可能性」も挙げた。

書簡に署名した4つの団体の中でも、特にパブリック・シチズンが、フェイスブックのグローバル通貨をローンチするという計画に強く反対してきた。

パブリック・シチズンの代表、ロバート・ワイスマン(Robert Weissman)氏は、7月17日の下院金融サービス委員会での証言の中で、リブラを「カルテル」と呼んだ。また、同団体は以前に、リブラプロジェクトの中止を議会に呼びかけている。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太、佐藤茂
写真:Robert Weissman image via House Financial Services Committee
原文:Consumer Advocates Urge Libra Members to Quit Facebook’s Crypto Project