「シャンハイ」によるイーサリアムへの売り圧力は限定的:コインベース

暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)がSEC(米証券取引委員会)との和解の一環として、ステーキングサービスの提供を停止したことは、イーサリアムブロックチェーンの次の大規模アップグレード(フォーク)「シャンハイ」を前に、イーサリアム(ETH)の供給力学の不確実性を高めることになったと、コインベース(Coinbase)は2月14日のリサーチレポートに記した。

クラーケンのステーキングはステーキングされたイーサリアム全体の約7%を占めているという。だが、これらがすべてアメリカの個人投資家によるものではない。

「クラーケンのアンステーキング(ステーキングの解除)によって、シャンハイ・フォークでステーキングされたイーサリアムの引き出しが可能になったとき、最低35万ETHから最大1145万ETHがさらに追加されて市場に流通する可能性がある」とコインベース(Coinbase)の機関投資家向けリサーチ責任者、デビッド・デュオン(David Duong)氏は記している。

これが売り圧力の要因となるかどうかは不明、12月には投資家はアップグレードを「下落への大きなリスクとなる」と懸念していたが、市場センチメントが改善するとそうした見解は変化したとレポートは指摘した。

さらに規制環境が見通しを不鮮明にしているものの、緩和要因と「自己修正メカニズム」がイーサリアムの流通をコントロールするはずであり、売り圧力はかなり限定的になるだろうと記している。

シャンハイ前後のイーサリアムのパフォーマンスは「引き出しが可能になった時点でのリスクの動向」に大きく左右される。マクロ経済環境が悪化し、株式市場が下落している場合、投資家はリスクを減らすためにイーサリアムを引き出し、売却するかもしれないが、機関投資家は買い手として積極的に踏み込まないかもしれないという。

逆に、リスクセンチメントがポジティブなら、引き出されて市場に出回るイーサリアムを相殺する以上の需要が期待できるとレポートは述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Matt Popovich/Unsplash, modified by CoinDesk
|原文:Coinbase: Ether Selling Pressure Should Be Fairly Limited Around the Shanghai Fork Upgrade