Facebookの「リブラ」支援企業が撤退検討──高まる緊張:報道

ソーシャルメディア大手のフェイスブック(Facebook)の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」を支援する企業の一部が、規制当局からの高まる圧力を理由に手を引くことを検討していると報じられている。

企業名は明かされなかったが、支援企業のうち3社は、リブラが金融安定性への脅威となる可能性を世界中の規制当局から懸念されていることを受け、同プロジェクトに関与しているとみなされることに不安を示している。英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が報じた

EU(欧州連合)は先日、独占禁止法面での問題をめぐり、リブラの運営・開発を目的に設立されたリブラ協会(Libra Association)を調査する動きに乗り出したと報じられた。また、米議員らは、規制上の問題が解決されるまで、プロジェクトの中断を要求している。

その結果、2社がリブラから手を引くことを検討している、とフィナンシャル・タイムズは伝えた

6月中旬に発表されて以来、28社が最大で1000万ドル(約10億6400万円)を支払い、リブラ協会に加盟しているとされている。これら加盟企業には、クレジットカード大手のビザ(Visa)やマスターカード(Mastercard)、オンライン決済サービスのペイパル(PayPal)、配車サービスのウーバー(Uber)などの大手企業も含まれている。ビザのCEOは、同社が署名したのは「リブラに参加するために法的拘束力のない意向表明書」で、まだプロジェクトに完全にコミットしている訳ではないことを2019年7月に明らかにした

リブラを公に支持することは、「(規制を)遵守していると見なされることを望む加盟企業にとっては難しくなるだろう」と加盟企業の1社はフィナンシャル・タイムズに語った。また「反発」を弱めるために、フェイスブックはプロジェクト公表の前に規制上の問題に対処するべきだったと、ある加盟企業は語った。

加盟企業がプロジェクトへの支持を表明していないことをフェイスブックが不満に思っていると述べる情報筋もおり、いら立ちはお互い様のようだ。

「フェイスブックは危険を冒しているのが同社だけという状態にうんざりしています」と加盟企業の1社は語った。

フェイスブックとリブラ協会はフィナンシャル・タイムズのコメント要請に応じなかった。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Facebook CEO Mark Zuckerberg image via Shutterstock
原文:Tensions Rising at Facebook Libra as Backers Consider Quitting: Report