仮想通貨融資のDharma、“国境なき銀行”を目指し方向転換──ステーブルコインの貯蓄口座を開設へ

仮想通貨融資のDharma、“国境なき銀行”を目指し方向転換──ステーブルコインの貯蓄口座を開設へ

Brady Dale
公開日:2019年 9月 2日 13:30
更新日:2019年 9月 2日 15:18

「ダーマ(Dharma)は、世界のどこからでもお金を貯蓄できる最も簡単な場所です」

これは、ダーマ・ラボ(Dharma Labs)の共同設立者兼COOであるブレンダン・フォースター(Brendan Forster)氏が述べた、分散型金融(DeFi)プラットフォームダーマの新しいミッションステートメントだ。

ダーマ・ラボは2019年8月29日、新貯蓄商品を含むサービスをベータ版で再ローンチすると発表。

「我々はユーザーにステーブルコインでの貯蓄を可能にする」とフォースター氏はコインデスク(CoinDesk)に語った。「ステーブルコインを即座に預金でき、利息を得ることができる」

2019年2月に700万ドル(約7億4000万円)を調達したダーマ・ラボは、4月にイーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で最初の商品をローンチした。当時、ダーマは、固定金利・固定期間で仮想通貨のピアツーピアの貸付と借入を促進することを意図していた。

ダーマV2は、融資プラットフォームのコンパウンド(Compound)上の既存の仮想通貨の流動性プールを利用して、従来の固定金利や融資条件から、ユーザーが資金をロックアップする必要のない動的に変化する変動金利へと移行している。同社の新しいサイトは、最高11.2%の金利を宣伝している。

方向転換の重要性

フォースター氏によると、このような方向転換の重要性はすべて「使いやすさ」にあるという。ダーマが最初の数週間で成功を収めたにもかかわらず、フォースター氏によると、ダーマユーザーは、当初のダーマプロトコルでは提供できなかったさらなる柔軟性を求めているという。

「ダーマは成功を遂げてきたが、ユーザーからは、ユースケースが狭すぎるという意見が聞かれた。彼らが望んでいたのは、直接融資よりも、貯蓄に関して大幅にカスタマイズされたものだ」とフォースター氏は述べる。「我々は初めにダーマV1の貯蓄商品のビジョンを構築しようとしたが、最終的に、コンパウンドプロトコル上にダーマV2を構築することを決定した」

これに加えて、ダーマの投資家でオートノマス・パートナーズ(Autonomous Partners)の創設者であるアリアナ・シンプソン(Arianna Simpson)氏は次のように述べている。

「コンパウンドを活用することで、ダーマは最も得意とするビジネスの部分に集中することができる。これには、デザイン、商品、ユーザーエクスペリエンスなどが含まれるだろう。これによって業務の一部をアウトソースすることになるが、産業が成熟する上での自然な一歩である」

他のDeFi(分散型金融)プラットフォームの強みの上に構築し、より広いイーサリアムエコシステムの中でシナジーを生み出すことは、コンパウンドの創始者でCEOのロバート・レシュナー(Robert Leshner)氏がダーマの次の段階を特徴づけたことである。

「ダーマチームは、非常にユーザーフレンドリーなインターフェースを築き上げようとしている。これには次の10万人の分散型金融ユーザーを獲得するチャンスがある」とレシュナー氏は述べる。

国境のない銀行

ダーマの既存ユーザーはすべて非公開ベータ版に移行する。加えて、仮想通貨の新たな預金は今後、オリジナルのダーマV1プラットフォーム上では許可されない。ダーマV1は、すべての既存のローンが返済されるまで、運営を継続する。

フォースター氏によると、ダーマ V1が段階的に廃止されるこのプロセスは、実際には7月に始まったという。既存のダーマローンの期限が切れ、新たなダーマローンが作られない中で、ダーマのなかで存在する仮想通貨の総額は、3000万ドルの高さから1000万ドル弱にまで落ち込んだ。

DeFi分野において、プラットフォームの価値は予期せぬ低下を余儀なくされているのかもしれない。フォースター氏によると、ダーマプラットフォームを可変貯蓄商品として再ローンチしたことは、意図的な結果だったという。

今後数カ月のうちに、ダーマ・ラボは、ダーマV2を拡張して、出入り自由な借入サービス、ノン・カストディアルスマートウォレット、法定通貨に対応する予定だ。フォースター氏の目標は、ダーマをイーサリアムエコシステムで最も人気のあるDeFiアプリケーションの一つにランクすることだ。

「我々がそのピークに達するのは数カ月先である。そして我々はそれよりも高い目標を設定している」とフォースター氏。「端的に言うと、我々は国境のない銀行を作りたいと考えている」

シンプソン氏によると、これはイーサリアムのエコシステムに限らず、もっと広い意味での仮想通貨に影響を与えるという。

「ダーマは、DeFiエコシステムをある種の消費者が利用できるようにするうえで、非常に重要な役割を果たしている。この消費者とは、これら製品やサービスの大部分を利用する技術的な知識を持つ初期の仮想通貨採用者よりも、はるかに幅広い」とシンプソンは言い、こう付け加えた。

「ダーマはより優れたユーザー体験を提供することで、分散型金融や仮想通貨と連携できるユーザーの数とタイプを拡大していきたい」

翻訳:新井朝子
編集:佐藤茂
写真:ダーマ・ラボのチーム(写真:ダーマ・ラボより)
原文:Crypto Lender Dharma Pivots to Stablecoin Savings Accounts