ビットコインは3万ドル超を維持──過去の7月は好調、オプション満期も控える

ビットコインがさらに上昇する可能性はあるだろうか?

週明けの26日、ビットコイン(BTC)は3万165ドル付近。3万1300ドルを超える1年ぶりの高値をつけた先週23日からは下落しており、過去24時間での下落幅は0.9%。

ブラックロック(BlackRock)など、複数の資産運用大手が米証券取引委員会(SEC)にビットコインETF(上場投資信託)の申請を行ったことでビットコイン価格は上昇した。しかし、SECの承認には数カ月以上かかること、そしてマクロ経済指標が依然不透明であることを投資家が認識し始めたことで上昇の勢いは削がれている。

過去3年間で7月は上昇

そうした中でも、暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダーであるマトリックスポート(Matrixport)のリサーチ責任者、マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は25日のレポートで、過去3年間の7月の上昇率は24%、20%、27%で、歴史的に好調な月だったと指摘した。

ティーレン氏によれば、ビットコインが今後30日間で10~20%上昇する可能性は高く、8月までに3万3000ドル〜3万6000ドルになる可能性があるという。

ティーレン氏は、ビットコインには今年、約1万ドル上昇した後5000ドル下落するパターンがみられると指摘。1回目は3月のアメリカの銀行危機による混乱で、ビットコインは2万5000ドルまで上昇した後に2万ドルまで下落。2回目は、6月にSECが暗号資産取引所のバイナンス(Binance)とコインベース(Coinbase)を相次いで提訴したときで、3万ドルから2万5000ドルに下落した。

「ビットコインETF承認への期待が、多くのアメリカの機関投資家と個人投資家をこの分野に向かわせており、現在は3万5000ドルを目指しているように思える」

マトリックスポートは今年初め、ビットコインは年末までに4万5000ドルに達すると予測している。ティーレン氏は、ビットコインの最も力強い上昇はアメリカの取引時間中に起きており、「他の地域の動きが鈍い一方で、アメリカの機関投資家がビットコインを購入していることを示している。『アメリカでは暗号資産は終わった』という主張は誤解のようだ」と述べた。

オプション満期で価格上昇の可能性

さらに今週金曜日にビットコイン・オプションの満期を控えていることで、ビットコイン価格がさらに上昇、あるいは満期直後に価格が上昇する可能性がある。 

CoinDeskのマーケット担当共同編集長、オムカー・ゴッドボール(Omkar Godbole)は「満期が近づくにつれ、ビットコインが3万ドル超えで上昇の勢いを強めれば、ディーラーは現物市場や先物市場でビットコインを購入するだろう」と指摘。「ガンマ・スクイーズあるいはスリング・ショット効果と呼ばれる過度の価格上昇につながる可能性がある。その反面、ディーラーは3万ドルを下回った場合には売らざるを得なくなるだろう」と述べた。

ほかの暗号資産やハイテク株も下落

イーサリアム(ETH)も過去24時間で約2.2%下落し、1854ドル付近。暗号資産ヘッジファンドのアルカ(Arca)のリサーチ責任者、ケイティ・タラティ(Katie Talati)氏はCoinDesk TVのインタビューで、イーサリアムブロックチェーンのバリデーターの条件となっているイーサリアムの必要するを32ETHから2048ETHに変更するという開発者の提案は「イーサリアム価格に必ずしも影響を与えるとは限らない」とし、この提案について「可能性は低い」と述べた。

ほかの主要暗号資産も大部分が下落。カルダノ(ADA)とソラナ(SOL)はどちらも4%以上下落した。明るい材料はわずかだが、ビットコインブロックチェーンからハードフォークしたビットコインキャッシュ(BCH)は16%近く上昇し、今年の最高値を更新した。ビットコインキャッシュは、機関投資家が支援する暗号資産取引所EDX Marketsが扱う4つの暗号資産の1つとなったことで、1週間で100%以上の上昇となった。

米株式市場は、週明け月曜日、ハイテク株中心のナスダック総合指数とS&P500指数がそれぞれ1.1%下落、0.4%下落で取引を終え、厳しい状況でスタートした。米国10年債と安全資産であるゴールドの利回りは上昇した。

ビットコインETF承認、時間がかかるが有望

タラティ氏は、ビットコインETF申請後の10日間でみられた投資家の熱意について、慎重ながらも楽観的な見方を示し、「大きな問題は、ETF承認が実現したとしても、しばらく先になることをほとんどの人が理解していないこと」と述べた。 また「SECは非常に強力なアンチ暗号資産のスタンスをとっている」と指摘した。

さらにタラティ氏は「ブラックロックが申請したという理由だけで、承認に向けて規制当局にいくらかプレッシャーがかかる可能性がある。伝統的金融業界の他の資産運用会社もETFを申請しており、ビットコインへのアクセスが可能になるという点で期待が持てる」と付け加えた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:CoinDesk Indices
|原文:Bitcoin Holds Above $30K as Investors Await Historically Strong July, Eye Options Expiry