CPIプレビュー:ビットコインの強気材料となる可能性は低い

ビットコイン(BTC)の強気派は、アメリカ労働統計局が10日に7月の消費者物価指数(CPI)を発表するのを前に、インフレ面で良いニュースが続くことを期待している。

コアCPIは鈍化の見通し

エコノミストらの予想は、6月と同じ前月比0.2%増。前年比では6月の3%よりも高い3.3%と予想されている。季節要因を調整しておらず、変動しやすい食品・エネルギー価格を含むCPIは、2022年6月に9.1%でピークに達し、同年7月には8.5%のペースで推移していた。

変動の大きい食品・エネルギー価格を除いたコアCPIは、6月と同じ0.2%になると予想されている。一方、前年比のコアCPIは前回の4.8%から4.7%に鈍化すると予想されている。前年比のコアCPIは2022年3月の6.5%でピークに達し、1年前の7月は5.9%だった。

利下げは折り込み済み

FRB(米連邦準備制度理事会)は2022年、急上昇するインフレの抑制を目指して一連の利上げに着手。フェデラルファンド金利を0~0.25%の範囲から現在の5.25~5.50%に引き上げた。この歴史的な金融引き締めペースは、ビットコイン価格の大幅な下落の要因の一部に少なくとも含まれている。ビットコインは、2021年後半の6万9000ドル近くから下落し、2022年の終わりには1万6000ドル程度となった。

ビットコインは今年これまでに75%上昇しているが、前回の大幅な下落を考えると反発はやや鈍く、現在は史上最高値から約58%下落した約2万9000ドルで推移している。

FRBの金融引き締めによってビットコイン価格の暴落がもたらされたことに鑑みると、その引き締めの鈍化や終了がビットコインの緩やかな回復の要因になるとみなされている。7月CPIで低い数字が出た場合はその考えを裏付けることになるかもしれないが、短期金利トレーダーらはすでにFRBが年内にこれ以上利上げしないことを織り込んでいる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループの来年の見通しによると、トレーダーらはアメリカ中央銀行の利下げが早ければ2月になると予想している。

今週のCPIデータが中央銀行の政策に関してビットコインの強気な方向性を変えるとは考えにくいが、CPIが予想を大幅に上回るネガティブサプライズがあった場合、金利がさらに上昇するのではないかとの懸念からビットコインが下落する可能性がある。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:CPI Preview: Bitcoin Unlikely to Get Bullish Catalyst