ペイパルUSD発行の発表にも、ビットコインやイーサリアムは動かず

ペイパル(PayPal)がステーブルコインを発行する計画を発表したにもかかわらず、主要暗号資産(仮想通貨)は過去24時間横ばいで推移した。

ビットコイン(BTC)は欧州取引時間の午前中に2万9100ドル強で取引されており、過去5日間、ほぼこの水準で推移している。ビットコインの価格変動は記録的な低水準に至っており、新たな資金が市場に参入していないことを示している。

イーサリアム(ETH)、バイナンスコイン(BNB)、カルダノ(ADA)も同様にほとんど変動がなかった。ドージコイン(DOGE)とアパランチ・ブロックチェーンのAVAXは1.5%下落し、主要トークンの中でも損失が大きかった。

ミームコインから本格的なプロジェクトに転じた柴犬コイン(SHIB)は、先週の25%上昇でトレーダーが利益を確定した後、価格が安定したようだ。

CoinDeskが先週報じたように、このプロジェクトの開発者は、すべてのエコシステム・プロジェクトを現実世界のデジタルIDに接続し、一般ユーザーの信頼を高めると述べた。このことは、2021年のブルランで上昇率トップだったこのトークンのセンチメントをさらに押し上げた。

一方、ペイパルUSD(PYUSD)に対する一般的な反応は薄かったものの、暗号資産市場の長期的な成長については明るい見方を維持するウォッチャーもいた。

ニューヨークを拠点とする決済大手のペイパルは8月7日、ステーブルコインのペイパルUSDを近日中に利用可能にすると発表した。大手金融会社が独自のステーブルコインを発行するのは初めてだ。

ユーザーは、PYUSDをペイパルとサポートされている外部デジタルウォレット間で送金したり、トークンを商品やサービスの支払いに使用したり、ペイパルがサポートしている暗号資産をPYUSDに変換したり、逆にPYUSDから変換したりすることができる。

暗号資産取引所BTSEの最高執行責任者(COO)であるジェフ・メイ(Jeff Mei)氏はテレグラム(Telegram)のメッセージの中で、「暗号資産金融サービス会社であるパクソス・トラスト(Paxos Trust)と共同で発行される米ドルのステーブルコインのペイパルUSD(PYUSD)はデジタル金融環境において重要な進展だ」と述べた。「伝統的な金融システムと暗号資産の世界との融合が進んでいることを示すこのニュースは、暗号資産市場にとって間違いなく強気材料だ」。

「規制当局が両手を広げてこれを歓迎するならば、より多くのアメリカのフィンテック企業や決済企業が積極的にデジタル通貨を探求し、新規立ち上げに向けて協調的なシフトを行うかもしれない」とメイ氏は述べ、立ち上げの成功は、特に「昨年のテラUSD(UST)の挫折」の後、ステーブルコインへの信頼を回復させるのに役立つかもしれないと付け加えた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin, Ether Flat as PayPal USD Report Fails to Ignite Market; SHIB Finds Support