ビットコイン現物ETFを却下するには、先物ETFの承認を撤回しなければならない:JPモルガン

アメリカ証券取引委員会(SEC)は、グレイスケール(Grayscale)がグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)を上場投資信託(ETF)に転換する試みを却下したことを見直す必要があるとの連邦控訴裁判所の判決を受け、複数の資産運用会社からのビットコイン(BTC)ETFの申請を承認せざるを得なくなる可能性が高まったと、JPMモルガン(JPMorgan)は9月1日の報告書で述べた。

ニコラス・パニギスツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるJPモルガンのアナリストは「グレイスケール対SECの判決の最も重要な要素は、SECが類似商品、すなわち先物ベースのビットコインETFの異なる取り扱いについて説明できなかったため、SECによる拒否は恣意的で気まぐれであったということだ」と書いている。グレイスケールと米CoinDeskはともにデジタル・カレンシー・グループ(DCG)が所有している。

裁判所は「ビットコインのスポット市場とCMEのビットコイン先物市場は非常に密接に相関している」ため、スポット市場における詐欺や操作は、先物とスポット商品の両方に同様のリスクをもたらすと主張したと報告書は指摘している。

JPモルガンは、裁判所が先物ベースのビットコインETFを認め、スポットETFを否定する正当な理由はないと判断したことに注目している。これは、SECがGBTCの転換を提案したグレイスケールへの却下を擁護するためには、「先物ベースのビットコインETFの以前の承認を遡及的に撤回しなければならない」ことを意味するという点で非常に重要だ。

遡及的な撤回は、SECにとって極めて破壊的で恥ずべきことであり、したがって可能性は低いと思われるとJPモルガンは述べた。

グレイスケールへの判決は、最終的にはビットコインのスポットETFの承認に近づくかもしれないが、「そのような承認は、暗号資産市場のゲームチェンジャーであることを証明する可能性は低い」と報告書は述べている。

ビットコインスポットETFはアメリカ以外では以前から存在していたが、投資家の関心を大きく集めることはできず、ビットコインファンド全体では、先物ベースと物理的に裏付けされたファンドの両方で、2021年第2四半期以降、投資家の関心はほとんど集まっていないと報告書は付け加えている。

スポットベースのETFは、投資家がポジションを無期限に保有できる一方、先物ETFに関連するロールオーバーコストを排除できる。暗号資産市場は、最終的にスポットベースのETFがローンチされれば、メインストリームの資金が殺到すると楽観視している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:ニューヨークで行われたグレイスケールの新しい広告キャンペーン(Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:Grayscale’s Legal Win Versus SEC Makes Spot Bitcoin ETF Approval More Likely: JPMorgan