予想下回るCPIでもビットコインは4%下落──アナリストは引き続き楽観的

10月のインフレ統計が歓迎すべきものだったにもかかわらず、14日の暗号資産市場はここ数週間で最悪の暴落に見舞われた。

10月の米消費者物価指数(CPI)が若干上昇の予想に反して横ばいとなったことを受け、ビットコイン(BTC)は朝方の3万6600ドル付近(約549万円、1ドル150円換算)から午後には一時3万4970ドルまで下落した。本記事執筆時点では3万5300ドルで推移しており、過去24時間で3.7%の下落となった。

幅広い銘柄が下落

イーサリアム(ETH)は同期間で約6%下落。世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)がイーサリアム現物ETF(上場投資信託)を申請したことで先週、7月以来初めて2000ドルの水準を回復していたが、今回の下落でこの水準を下回った。

ドージコイン(DOGE)、ポリゴン(MATIC)、トロン(TRX)などの主要アルトコインは、この日6~7%下落した。

暗号資産市場全体のパフォーマンスを示すCoinDesk Market Index(CMI)は4.5%下落し、市場全体の下落を浮き彫りにした。

ビットコインの価格上昇は終わったのか?

一方伝統的な市場は、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを終了し、2024年上半期に利下げを行う可能性があるという考え方に全面的に傾いていた。14日の取引終盤、ナスダック総合指数は2.3%、S&P500は1.8%上昇した。

債券市場の動きはさらに激しく、米10年債利回りは20ベーシスポイント低下して4.44%となった。わずか3週間前には、パニック的な動きにより、利回りは16年以上の間で初めて5%を超えていた。ドルも今回の動きに追随し、ドルインデックスは1.55%と大幅に下落した。

この日の暗号資産市場は厳しい取引となったが、資産運用会社グレイスケール(Grayscale)は14日のレポートで、インフレ鈍化と債券利回りの低下が価格を下支えする可能性があると指摘した。

グレイスケールは、「実質金利がピークに達し、アメリカ市場で現物ETF承認に向けた進展が継続すれば、暗号資産の評価額の回復は続く可能性があると考えている」と述べた。

ビットコイン価格と2年実質金利(グレースケール)

ニュースレター「Crypto Is Macro Now」の著者であるノエル・アチェソン(Noelle Acheson)氏はCoinDeskへの電子メールで、「現時点ではETFの投機が中心となっているが、価値貯蔵の筋書きは依然として存続しており、ビットコインに回復力と底値の上昇をもたらすだろう」とし、「最近の下落が、上昇相場が一旦終わったことを意味するかどうかは非常に疑わしい」と述べた。

アチェソン氏は、今回の下落は「米証券取引委員会(SEC)が現物ETFを再び遅らせる可能性を前に、売り手が利益確定したことによる可能性が高い」と指摘した。

資産運用大手のフランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)とハッシュデックス(Hashdex)のビットコイン現物ETF申請に対してSECが承認、却下、延期のいずれかの対応を取るための期限は今週17日に迫っており、間もなく承認される可能性のあるETFへの熱狂が高まっているが、今週はさらなる延期が行われると予想されている。

暗号資産市場分析会社K33 Researchのアナリストらは14日の市場レポートで、「このシナリオでは、ETFに関する重要なニュースが出るまでに数週間かかる可能性が高いため、暗号資産市場の勢いが鈍化する可能性がある」と指摘した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Drops 4% to $35K Despite Soaring Tradfi Markets, But Analysts Remain Optimistic