ETF、ビットコインのボラティリティを下げる可能性

ビットコイン(BTC)の成功の重要な要素の1つは、新しい取引インフラと投資商品の出現であり、これらは新しい投資家へのアクセスを可能にする。このトレンドは今、ビットコイン現物ETF(上場投資信託)の登場によってさらに加速している。

流動性プロバイダーやトレーディングデスクの枠を超えて、これらの画期的な変化がビットコインの市場構造をどのように変化させるのかを我々はまったく理解していない。

ビットコインの市場構造の成熟に伴い、ボラティリティの低減が期待できる。ここでは、現物ETFの登場にまつわる複数の重要なシフトが、この変化をどのように促進しようとしているかを探っていく。

市場参照価格としてのETF

ETFの登場によって、ビットコインの取引高が明らかに増加したことは周知の事実だ。特筆すべきは、この取引高増加の不自然に大きな部分が主に米東部時間午後3時〜4時の間、つまりETF価格フィックス(基準価格決定)に近い時間帯に起きていること。

下のチャートは、主要取引ペアについて、米東部時間午後3時と午後3時30分から始まる30分間がビットコインの1日の取引高に占める割合を示している。この2つの時間帯の取引高はこれまで、1日の取引高の5%未満だったが、今では10~13%を占めている。

(15時/水色と15時30分/赤から始まる30分間の取引高が1日の取引高に占める割合)

ETF価格フィックスは、市場参加者によって認識された透明で一貫性のある基準点を提供することで、大口取引を共通の時間帯に集約させ、市場への影響や市場全体のボラティリティを低減することが可能になる。

ETFについての新たなオプション市場

現在、ビットコイン現物ETFを上場している3つの取引所はすべて、ETFオプションの上場を認めるよう、すでにSECに申請している。SECの審査には1カ月〜8カ月かかり、清算・決済プロセスには問題もある。

ETFオプションが認可されれば、ビットコインのオプション市場が大きく活性化する可能性が高い。ビットコインオプション市場は現在、アメリカ人がアクセスできないオフショア取引所で取引する投資家と、CMEのような大手金融機関だけがアクセスできるプラットフォームで取引する投資家に限られている。

ビットコイン現物ETFに基づくオプションを認めることで、オプション市場はこれら2つの市場を超えて大きく拡大する可能性がある。ビットコインオプション市場は、2023年の大規模な成長の後でも、2024年のビットコインに重要性を与え続けるはずだ。

オプション市場がより発展すれば、投資家はより広範な投資戦略を取れるようになり、流動性の高いETFの流動性がさらに高まるため、ボラティリティは低下する。また、満期やディーラーのポジショニングなど、価格変動の原動力となるイベントの重要性も拡大する。

20年におよぶETFの実績とビットコイン革命の出会い

ETF革命が今、ビットコイン市場に恩恵をもたらしている様子を見ることはエキサイティングなことだ。ビットコイン現物ETFの登場は、おそらく2000年代初頭の金ETFと同様に、参加者の増加をもたらし、それは今後も続くだろう。

ビットコイン現物ETFは登場から2週間以上が経過し、1日の取引高はすでに15億ドル(約2190億円、1ドル146円換算)を超えている。ちなみにこの数字は、好調な日のビットコイン現物(スポット)市場の取引高の約20%に相当する。

暗号資産(仮想通貨)ETFのイノベーションが進むにつれて、ETFに関連する取引が拡大し、kそれがビットコインのボラティリティ低下と、ビットコインの成熟に寄与するだろう。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:How the Launch of Spot ETFs Could Dampen Bitcoin’s Volatility