イーサリアムのプット・コール・レシオが1年ぶりの高水準──強気のバイアスを示唆
  • グラスノードのデータによると、イーサリアムのオプション建玉のプット・コール・レシオは5月28日に0.61まで上昇した。
  • この上昇は強気の見通しを示しているとウィンターミュートは述べている。

イーサリアム(ETH)の価格上昇は月曜日から停滞している。それでも、人気のあるオプション市場の指標は強気のバイアスを示し続けている。

CoinDeskのデータによると、ETHの価格は月曜日に到達した2カ月ぶりの高値3973ドルから一時3700ドル付近まで戻している。先週、アメリカ証券取引委員会(SEC)による待望のイーサリアム現物ETF(上場投資信託)の承認に近づいたことで、価格は急騰した。

Glassnodeによると、イーサリアムのオプション建玉のプット・コール・レシオは、アクティブなプット(弱気の賭け)と、コール(強気の賭け)のオプション契約数を比較するもので、5月30日に暗号資産(仮想通貨)オプション取引所のデリビット(Deribit)で0.61に上昇し、少なくとも1年間で最高となった。

この比率(レシオ)の上昇は強気バイアスを反映すると言われているが、その動きは解釈の余地がある。

「イーサリアムのプット・コール・レシオは0.6に達しており、イーサリアム現物ETFの上場承認を受けて強気の見通しを示している」とアルゴリズム取引会社のウィンターミュート・ベンチャーズ(Wintermute Ventures)はCoinDeskと共有したメモの中で述べている。

プットオプションは、オプションの買い手に、指定された期日までに特定の価格で原資産を売却する権利を与える。経験豊富なトレーダーや投資家は通常、オプションを使って現物市場のポジションをヘッジし、コインの保有に加えて追加の利回りを得る。アクティブなプットオプションの数が比較的多いのは、トレーダーが保有コイン(現物市場の強気ポジション)を突然の価格下落から守るためにプットを追加していることに起因している可能性がある。

もう1つの可能性は、トレーダーが現物市場の保有コインに加えて追加収入を得るために、相場上昇時にプットオプションを売っていることだ。プットオプションの売り手は、価格下落に対する保険を提供する対価としてプレミアムを受け取る。

イーサリアムのプット・コール・レシオ。(Glassnode)

レシオ上昇の強気な解釈は、時間枠を超えたコール/プットのスキュー(偏り)が正であることと一致する。アンバーデータ(Amberdata)によると、7日スキューは2%である一方、30日、60日、90日、180日スキューは5%以上の値を示している。これはコールや強気ベットが相対的に豊富であることの表れだ。

とはいえ、トレーダーはプット・コール・レシオの継続的な上昇には注意する必要がある。比率が非常に高く、1を上回ると、極端な強気を示し、逆張り投資家は差し迫った相場の天井を表すと考える。0.20以下は極端な弱気を示し、伝統的に弱気相場の底値で見られる。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Glassnode
|原文:Ether Put-Call Ratio Hits One-Year High, Hints at Bullish Bias Despite Pause in Rally