Facebook「リブラ」に対抗の非許可型ステーブルコイン「オープンリブラ」

30のブロックチェーン企業と非営利団体が、ソーシャルメディア大手のフェイスブック(Facebook)の主導する仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」をフォークして、「オープンリブラ(OpenLibra)」という名の独自の非許可型バージョンを構築する計画を立てている。

イーサリアム開発者のカンファレンス「デブコン(Devcon)」において、ブロックチェーンインフラスタートアップのワイアライン(Wireline)の共同創業者ルーカス・ガイガー(Lucas Geiger)氏が発表したオープンリブラは、実際のリブラに連動したステーブルコインとして機能する。リブラは現在、2020年のローンチが予定されている。

「コードをフォークし、コミュニティをフォークして、オープンリブラと呼ばれる新しい仮想通貨を作り出す予定です」と、デブコンでのプレゼンでガイガー氏は述べ、次のように続けた。「トークンセールスはありません。この構想には株式も、裏で支える企業も存在していません」

オープンリブラの核となるチームには、コスモス(Cosmos)、ウェブ3(Web3)、デモクラシー・アース(Democracy Earth)をはじめとするブロックチェーンプロジェクトの担当者、そしてデンマークの赤十字といった非営利団体の担当者が含まれている。

ガイガー氏は、インターチェーン財団(Interchain Foundation)からの「潤沢な助成金」と、個人的な資金がオープンリブラの研究を支えることになる、と説明した。インターチェーン財団は、コスモスネットワークの開発支援のための非営利団体である。

「これで数カ月の資金がカバーできますが、他の助成金も入ってきます」とガイガー氏は述べた。

フェイスブックは6月に初めてリブラ構想を発表し、法定通貨と国債のバスケットにペッグされることになるステーブルコインの詳細を公表した。

これまでのところオープンリブラプロジェクトは、リブラバーチャルマシーンの非許可型バージョンを、ギットハブ(GitHub)上で公開した。フェイスブックのリブラと異なり、「ムーブミント(MoveMint)」と呼ばれるオープンリブラのコード計算は、コスモスなどのパブリックブロックチェーンプラットフォームでの利用のために特にデザインされたブロックチェーンソフトウェア「テンダーミント(Tendermint)」上で運用される。

「フェイスブックのリブラで実行されているものは何でも、オープンリブラにドラッグ&ドロップすることができます。資金管理も同様に機能します。コードも同様に機能します」と、ガイガー氏はCoinDeskに語った。

ガイガー氏は、自身や他の人たちが、「ウーバー(Uber)の倫理観やビザ(Visa)の検閲性を持ったカルテル企業」がリブラコインの唯一の事業者となって欲しくはなかった、と説明した。それでもガイガー氏は、リブラのアイディアとその技術は、素晴らしいだけではなく、「インターネットの通貨となる可能性が高い」と述べた。

ガイガー氏は、次のように思いをまとめた。

「リブラは信用しているものの、フェイスブックは信用していません」

将来を見据えて、ガイガー氏とオープンリブラチームの残りのメンバーは、オープンリブラプラットフォームを監督するための堅固な構想を練ることを計画している。

「これはガバナンスの問題です。政府はビザやマスターカード(Mastercard)、フェイスブックを異なる角度から攻撃することができ、そのことは脆弱な準備金通貨を生み出すことになります」とガイガー氏は述べ、次のように続けた。

「我々はフェイスブックよりも、規制当局からの監視にさらされていません。政府の我々に対する影響力はより小さいものです。(中略)地理的にだけではなく、政治的、経済的にも分散されたより多くのメンバーを抱えていることが我々に強さをもたらしています」

翻訳:山口晶子
編集:T.Minamoto
写真:Lucas Geiger image via Christine Kim for CoinDesk
原文:New Libra Fork Will Create Permissionless Stablecoin Free of Corporate Control
(編集部より:参加団体の発表内容に誤りがありました。訂正の後、更新しました)