Facebook「リブラ」での違法送金を警戒:中国高官

中国の規制当局高官は2019年10月28日、フェイスブック(Facebook)の仮想通貨リブラ(Libra)は、国際為替規則に従わなければならず、そうでなければ「禁止されるべき」と述べた。

ロイター(Reuters)の報道によれば、中国国家外貨管理局の主任会計士、孫天琦氏は、上海で開かれている外灘サミットにおけるスピーチでそのように発言した。

孫氏は新興市場の政府に対して、特にリブラプロジェクトが国家の資本規制を脅かしたり、違法な送金を可能にするようならば、リブラの進展を抑止するよう呼びかけた。

「金融テクノロジーは、国家の金融市場の開放、イノベーション、発展を促すことができます」と孫氏は述べ、次のように続けた。「しかし、国境を超えた多くの違法な金融活動をもたらす可能性もあります。このことは、すべての国家にとって、特に新興市場にとっては大きな懸念材料となるはずです」

孫氏の懸念は、国家の資本規制や為替管理の能力に制約を与え得る、国内取引で人民元に取って代わるような外国のデジタル通貨に向けられている。中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は現在、人民元に下方圧力をかけており、輸出を促進するために、他の主要通貨に対して安くなるようにしている。

孫氏の発言は、物議を醸しているリブラ構想についての他の中国規制当局者の公式発言とも一致している。

中国人民銀行の周小川前総裁は7月、リブラが決済システムと国家通貨への脅威となると発言した。中国人民銀行の研究部門責任者の王新氏は、2014年に初めて提案された中国の「デジタル人民元」の開発はリブラ構想によって促された、と述べた。

習近平国家主席は10月25日、ブロックチェーンがもたらす「チャンスをつかむ」ように呼びかけた。中国国家インターネット情報弁公室が先日公表した登録リストでは、中国でのブロックチェーンアプリケーションの開発は急速に進んでおり、500を超える企業プロジェクトがすでに進行中であることが示されている。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:China Shelf by Creative Commons/Metropolitan Museum of Art
原文:Chinese Official Warns Libra Could Abet Illegal Cross-Border Transfers