香港の暗号資産企業OSL、日本進出を本格化──買収したCoinBestを「OSL Japan」に改称

海外の暗号資産(仮想通貨)企業は、日本市場にチャンスを見出しているようだ。

香港証券取引所上場の暗号資産企業OSL Group(OSLグループ)は2月6日、「OSL Group 日本市場戦略発表会」を開催。2024年11月に株式の81.38%を取得して子会社化した国内暗号資産取引所CoinBest(コインベスト)の名称を変更し、新社名を「OSL Japan」とすると発表した。

併せて、日本での事業戦略を発表。冒頭、OSL GroupのCEO、Kevin Cui(ケビン・クイ)氏は、社名の由来は「Open」「Secure」「Licensed」の頭文字を取ったものと述べ、同社の実績やビジョン、ミッションを紹介した。

OSL Japan設立の理由については「日本市場は規制に則った事業運営を行っているOLS Groupにとって理想的」であり、「人口動態を捉えた場合、さらなる成長が期待できる」とし、現状でも口座数は香港よりも多いと述べた。

さらに事業展開のターゲットとして、富裕層、機関投資家、個人投資家をあげ、富裕層向けにはOTC(相対)デスク、機関投資家にはカストディサービスおよびRWAトークン化商品の開発とサービス、さらに個人投資家向けサービスを拡充すると説明した。

OSL Japanの社長となる旧CoinBestの代表取締役社長、雒東生(ラク・トウセイ)氏は「顧客ニーズを捉える強力なチームを組成」し、前述のサービスを提供していくと続けた。

質疑応答では、雒氏は日本市場でのサービスについて特にOTCデスクに注力したいと述べ、日本市場参入の勝算についてクイ氏は「日本に進出する外資企業ではなく、日本でチームを立ち上げ、香港での実績を活かして日本チームと掛け算でサービスを展開していく」と答えた。

OSL Groupは、2011年3月設立。リリースによると、香港市場で初めて証券先物委員会(SFC)の認可を取得し、暗号資産の仲介、カストディ、交換所、SaaSなど包括的なサービスを提供している。

CoinBestは、2017年8月設立、2020年9月に暗号資産交換業の登録を完了。2024年6月には関東財務局から行政処分(IEO業務の停止命令および業務改善命令)を受けている。雒氏は「人員を強化して体制を整え、取引所サービスを再開したい」と述べた。

海外企業の日本進出が活発化

1000万を超えた口座数、規制の整備、さらにはアジアでの事業拡大などを目的とした海外企業の日本進出が活発化している。

5日、アダム・バック(Adam Back)氏が共同創業した暗号資産開発企業Blockstream(ブロックストリーム)は東京にオフィスを開設すると発表した。

2024年12月には、世界有数の暗号資産取引所Gate.io(ゲート・アイオー)が、暗号資産取引所c0ban(コバン)を運営するCoin Masterの全株式を取得したと発表。

10月には、レイヤー1ブロックチェーンAptos(アプトス)を手がけるAptos Labs(アプトスラボ)が、Hashport(ハッシュポート)の子会社でPalette Chain(パレットチェーン)を開発するHashPalette(ハッシュパレット)を買収すると発表した。

|文:CoinDesk JAPAN編集部
|写真:左:雒東生氏、右:Kevin Cui(ケビン・クイ)氏(CoinDesk JAPAN編集部)