ビットコインで老後の資産形成?確定拠出年金に仮想通貨──米国

米国の確定拠出年金(401kプラン)と個人退職勘定(IRA、Individual Retirement Accounts)の口座として、ビットコインなどの仮想通貨が保険付きで提供されることが11月13日、分かった。大手仮想通貨取引所コインベース、カストディ会社のキングダムトラスト、オルタナティブ資産投資会社のリーガルアセットが連携したもので、暗号資産が老後の資産形成に向けた手段として認識されるようになるか、注目される。

30を超える暗号資産が対象

発表によると、この口座には、コインベースの口座から直接アクセスできる。 投資リストには、ビットコインやイーサリアム、ライトコイン、XRPなど30銘柄を超える暗号資産が含まれるという。どの暗号資産にどんな割合で投資するかは加入者が決めるが、アドバイスも受けられるという。

ビットコインや仮想通貨のIRAには、最大手の保険組織ロイズ保険組合による保険が2億ドルかけられるといい、資金が保証されるという。

401kとIRAはともに税制が優遇される年金積立て制度。401kは雇用主が提供する確定拠出型の個人年金で、年間の拠出限度額は50歳未満は5.6万ドル、50歳以上は6.2万ドル。加入年齢の上限はない。70.5歳以降は新規の加入ができないものの、それまでに加入しておけば拠出可能な仕組みだ。

また、IRAは投資口座で個人が積み立てるもので、会社員以外の個人事業主でも加入できる。退職後の税金を繰り延べして節約できる。年間の拠出限度額は50歳未満が6000ドル、50歳以上は7000ドルで、随時引き出しが可能だ。

リーガルアセットCEOのタイラー・ギャラガー(Tyler Gallagher)氏は発表文で、「ハッキングや個人情報の盗難リスクがあることで、人々がビットコインや仮想通貨の個人退職勘定に多額の金額を投資することを避けていると理解している。そのため大手のロイズ保険組合と提携して、顧客口座を完全に保護することにした」とコメントした。

文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:igorstevanovic / Shutterstock.com