LIFULLが不動産のデジタル証券化を実験、米セキュリタイズと【セキュリティトークン】

不動産情報サイト大手のLIFULLと、デジタル証券プラットフォームを提供する米セキュリタイズが、日本で不動産のデジタル証券の実証実験を始めた。ブロックチェーンを用いてコストを抑え、小規模な不動産の証券化を狙う。

従来の不動産ファンドでは組成運用コストがかかることから、証券化の対象は規模が大きい物件に限られてきた。ブロックチェーンを活用してコストを抑えることで、空き家などの小規模な不動産でもファンドを組成できるようになる。

イーサリアムを活用、配当や償還、二次流通を自動化

両社が3月10日に発表した。試験は2019年末から行ってきた。発行スキームは、特別目的会社(SPC)が物件を小口トークン化し、投資家に売り出すというもの。ブロックチェーンを用いることで、配当や償還、二次流通を自動化する。トークンは物件の利用券としても使えるようにする。

2月末からは、入金処理にGMOあおぞらネット銀行のAPIを活用。入金により内部で円トークンを発行し、自動的に配当や証券資金決済が実現できるようにした。パブリック型ブロックチェーンのイーサリアムを活用するが、購入者のアドレスをホワイトリストで管理することで移転制御を行う。

不動産セキュリティトークン・プラットフォーム
不動産セキュリティトークン・プラットフォーム概要図

デジタル証券は6月までに施行される改正金融商品取引法で「電子記録移転権利」などに位置付けられる。実験を受けて、ライフルは不動産セキュリティートークンでファンドの組成検討を進める。

文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:LIFULLウエブサイトより