イーサリアムの「くじら」、ビットコインに移行か?──大量保有者アドレスが減少

イーサリアムの「くじら」、ビットコインに移行か?──大量保有者アドレスが減少

イーサリアム(ETH)価格が2020年に50%近く上昇している一方で、「くじら」と呼ばれる大量保有者のアドレス数は大きく減少している。

ビットコインの「くじら」とは対照的

1万イーサリアム(ETH)以上を保有しているユニークアドレス数の7日間平均は、5月12日に1050に減少した。ブロックチェーン情報企業グラスノード(Glassnode)のデータによると、2019年1月以来の低水準となった。

イーサリアムの「くじら」のアドレスは2019年12月の1115から6%近く下落している。

この減少は、ビットコインの「くじら」アドレス数が最近上昇していることとは対照的だ。1万ビットコイン以上を保有するアドレス数の7日間平均は4月末に111に上昇し、2019年8月以来の高い数値となった。

「一部のイーサリアムのくじらは、半減期による価格上昇の可能性を期待してビットコインに移行した可能性がある」とデジタル・アセット・データ(Digital Asset Data)の暗号資産(仮想通貨)リサーチアナリスト、コナー・アベンドシャイン(Connor Abendschein)氏は述べた。

1万イーサリアム(ETH)以上を保有するアドレス数の推移
出典:Glassnode

半減期でのビットコイン価格上昇を期待か

5月11日に迎えたビットコインの3度目の半減期をめぐる強気の論調はきわめて大きく、過去数カ月、アナリストたちは広範囲にわたって議論を続けてきた。3月12日に3867ドルまで下落したビットコインが、わずか5日で7000ドルまで急回復したことで、強気の期待感はさらに強まった。

そのため、一部の「くじら」は半減期の前にイーサリアムからビットコインに移行した可能性がある。これはイーサリアムの「くじら」アドレス数が下落傾向にある一方で、3月にビットコインの「くじら」アドレス数が5%急増したことによっても裏付けられている。

ミネアポリスに拠点を置くデジタル融資プラットフォームDeFiner.orgの共同創業者兼CEO、ジェイソン・ウー(Jason Wu)氏によると、ビットコインは主に価値の保存手段として使われているため、この動きは今後も拡大していく可能性がある。

その結果、「くじら」はイーサリアムよりもビットコインを大量保有する可能性が高くなる。イーサリアムの「くじら」の目的は、マネタイズよりも、イーサリアム上で行われる作業の促進にある。

DeFiの成長も影響

「イーサリアムにはアプリケーション・レイヤーの大きなエコシステムがあり、DeFi(分散型金融)やゲーム、報酬などのソリューションに対する人々の日常的な需要を満たすために多くのトランザクションが発生する。イーサリアムを保有するためにますます新しいアドレスは作られていくだろう」とウー氏は語った。

イーサリアムの「くじら」が減少しているもう1つの理由は、DeFi(分散型金融)への投資家の関心が高まっていることかもしれない。

「より多くのお金を稼ぐために、融資などを行うさまざまなDeFiサービスにかなりの量のイーサリアムを移動した可能性がある」と暗号資産取引所CoinSwitch.coの共同創業者兼CEO、アシシュ・シンガル(Ashish Singhal)氏は語った。

defipulse.comによると、DeFiに担保などとして差し出されたイーサリアムは2月に323万イーサリアムと過去最高を記録し、現在は前年比28%増の265万イーサリアムとなっている。

急成長しているDeFi分野はイーサリアムが独占しており、defiprime.comによると、記事公開時点で213件のDeFiプロジェクトが上場し、そのうち199件はイーサリアム上に構築されている。

小規模保有アドレスは急増

大量保有アドレスの減少はまた、32イーサリアム以上を保有するアドレス数が明らかに増加していることとは対照的だ。

32イーサリアム(ETH)以上を保有するアドレス数の推移
出典:Glassnode

32イーサリアム(ETH)以上を保有するアドレス数の7日間平均は、13日に過去最高の11万4625となり、今年に入って4%以上上昇した。

「この上昇は、イーサリアム2.0のリリースにまつわる強気心理が要因となっている可能性がある」とシンガル氏は述べた。

つまり、イーサリアム2.0と呼ばれるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行においては、バリデーター(トランザクションの承認者)になるには32イーサリアム(ETH)以上を保有している必要があるためだ。

現行のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)では、マイナーが暗号化された複雑なパズルを解くことでネットワーク上のトランザクションを完了させ、報酬を得る。

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)では、バリデーターは保有するイーサリアムの一部をネットワークにロックアップしてブロック生成およびトランザクション承認から報酬を得る。わかりやすく言えば、ステークとは、債券への投資で利子を得ることに似ている。

ただし、32イーサリアム(ETH)以上を保有するユニークアドレス数の増加は、必ずしも新たな投資家の流入を意味するものではない。1人のユーザーは、複数アドレスを保有することができる。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Many Ether Whales Might Be Leaving for Bitcoin: Data

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