ECB専務理事、リブラは規制当局への「ウェイクアップコール」

欧州中央銀行(ECB)は 、フェイスブック(Facebook)とその仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」のような大手テック企業の金融業界参入に向けて、規制当局に対して本腰を入れて規制の制定に取り組んで欲しいと考えている。

ブルームバーグの報道によると、ECBのブノワ・クーレ(Benoit Coeure)専務理事は7月7日(現地時間)、フランスで次のように述べた。

「彼らが規制の空白で金融サービス活動を発展させていくのを許すことは論外である。それはあまりにも危険だからだ。今までよりも迅速に行動する必要がある」

そのようなプロジェクトは多くの問題を提起し、規制当局が仕事の進め方を改善することにつながる可能性もあるため、「規制当局や公権力にとってありがたい『ウェイクアップコール(警鐘)』だ」ともクーレ専務理事は述べた。

リブラプロジェクトがフェイスブックの何十億ものユーザーと相まって、米ドルのような法定通貨を脅かすのではないかと世界中の監視機関が懸念していることが連日報じられている。また、リブラが 適切に運営されなければ、マネーロンダリングに利用される可能性も懸念されている。

アメリカには、リブラの開発の凍結を求める議員もおり、上院、および下院の委員会が7月、同プロジェクトについて議論するための公聴会を開く予定

アメリカ以外でも、フランス日本シンガポールといった国の監視機関がリブラに関して懸念を表明し、同プロジェクトについてより詳しく知る必要があると述べている。

フランスのブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)経済相は以前、リブラが「ソブリン通貨となることは問題外である。そのようなことは起こり得ないし、起きてはならない」と述べた。

クーレ専務理事は7日、仮想通貨の発展は現状の規制の脆弱性、そして銀行システムの新テクノロジー導入への怠慢を浮き彫りにすると語ったと、ブルームバーグが報じた。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太、佐藤茂
写真:ECB building via Shutterstock
原文:Facebook’s Libra Is a ‘Wake-Up Call’ for Regulators, Says ECB Policymaker