アルゴリズム型ステーブルコインを支持するトロン創業者のサン氏

アルゴリズム型ステーブルコインを支持するトロン創業者のサン氏

ブロックチェーン「トロン(Tron)」の生みの親で、カリブ海の島国グレナダの世界貿易機構(WTO)常駐代表を務めるジャスティン・サン(Justin Sun)氏は、USTとLUNAの破綻は、アルゴリズム型ステーブルコイン開発の際に避けるべきことを教えてくれる教訓となる、と語った。

テラブロックチェーンのこれら2つのトークンは暴落前、時価総額が合わせて400億ドルほどであった。2018年に立ち上げられたテラは、暗号資産(仮想通貨)強気相場の中、昨年やっと頭角を現してきたばかりだったのだ。

一連のアプリと派手な創業者が、個人投資家と機関投資家どちらからも注目を集めていた。その勢いのあり過ぎた驚異的な成長こそが、破滅の元凶であったのかもしれない。

貴重な教訓

「私がドー・クォン(Do Kwon)氏であったなら、もっと慎重に事態に対処しただろう」と、サン氏はテラの創業者クォン氏の名をあげて語った。しかし、それは口で言うほど簡単なことではないかもしれない。

テラ暴落のわずか3日前、トロンは独自アルゴリズム型ステーブルコインUSDDを立ち上げた。

テラ崩壊のはっきりとした原因は、いまだに解明されてはいない。ブロックチェーンコミュニティに広がる陰謀論では、世界最大の資産運用会社ブラックロックや、世界有数のマーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズを含む機関投資家が、テラネットワークのデザインの既知の欠陥につけ込むことで、清算を強いた、と言われている。迫り来る不況のためにリスク資産が低迷し、テラがその圧力に耐えられなかった、と考える人もいる。

必ずしも落ち着いた考え方や理性的な行動で知られてはいないサン氏は、もう少し現実的な見方をしている。何がきっかけであったとしても、テラの崩壊に先立って、テラを手がけるテラフォーム・ラボが分散型ステーブルコイン取引所カーブ(Curve)の流動性プールからUSTを引き出し始めた後に、テラネットワーク上で大きな資金の動きがあった、とサン氏は指摘した。

テラの首脳陣は、4poolと呼ばれる、UST市場を改善させるための独自専用ツールのために、3poolと呼ばれるステーブルコインスワップから流動性を取り除いていた。その次に起こったことが何であれ、テラに攻撃を仕掛けたいと考えていた人にとって、タイミングはこの上ないものだったと、サン氏は主張する

「価格やペッグを守れる人はいない」と、サン氏は語った。

トロンのUSDDとテラのUSTの類似性を指摘する専門家もいることを考えると、サン氏は、UST暴落の技術的側面について、よく分かっているのかもしれない。3カ月前にUSDDを立ち上げる計画だったサン氏は、USTの「劇的な」最後が提供してくれた教訓に感謝すると語った。

それでもサン氏は、USDDが空売りを仕掛けて来る人に攻撃を受けたり、USTと同じような命運をたどることを、懸念している。

分散型ステーブルコインの意義

テラは、自ら招いたダメージを無かったことにすることはできないが、今ある、そしてこれから登場してくるアルゴリズム型ステーブルコインは「有機的な成長」に集中する必要がある。さらに、証明できる形で分散化していなければならず、複数のブロックチェーン上で運営される必要もあるかもしれない、とサン氏は指摘した。

超低コストが特徴のトロンは、中央集権型ステーブルコイン、テザー(USDT)のユーザーを多く抱えている。透明性の欠如から批判されたこともあるテザー社だが、サン氏は同社がしっかりとした準備金を維持していると信じている。

「テザー社に対しては、暗号資産コミュニティとコミュニケーションをとるさらに透明性の高い方法を採用するよう促したい」と、サン氏は語った。

まだ初期段階ではあるが、USDDは「非常に安全」だと、サン氏は主張する。少なくとも、時価総額が3億4800万ドルということは、暴落したとしても、USTのように暗号資産市場全体に波及的な影響をもたらすことはない。しかし、大風呂敷を広げるのが特徴のサン氏は、USDDの時価総額20億ドルを目指す、と語っている。

「もっと慎重にならなければならない」と、サン氏は続けた。リスクの高さが証明されたが、規制から完全に自由なドルの代理コインを作るのに最も簡単な方法かもしれないアルゴリズム型ステーブルコイン。サン氏はいまだに、アルゴリズム型ステーブルコインを完全に支持し続けていると語る。

「最近では、ステーブルコインは分散型の世界において、最も中央集権化された存在となっている」とサン氏は語り、そのような中央集権型オプションの「運命は、世界中の規制当局によって決められる」と続けた。

テラの開発者たちに関してサン氏は、少し冗談めかして、今や無価値となったUSTとLUNAを「柴犬コイン(SHIBA)やドージコイン(DOGE)」のようなミームコインにすれば良い、と提案。

「この問題を解決するのには、それしかない」と、冗談を言った。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:CoinDesk
|原文:Justin Sun Still Thinks Algorithmic Stablecoins Are a Good Idea

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