仮想通貨の2協会、税制改正の要望書を金融庁に提出──取引活性化の鍵を握る税率

国内の仮想通貨の2協会が相次いで金融庁に税制改正の要望を提出した。

日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)は7月19日に「2020年度税制改正要望書」を提出。日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)も同日、「2020年度税制改正に関する要望書」を手渡した。今年5月に改正された金融商品取引法(金商法)などを背景に、早ければ来年度にも税制改正を目指す。

二つの要望書は、金商法で仮想通貨(暗号資産)が金融商品の1つに位置づけられたことから、所得とは分離して税額を計算する申告分離課税を求めた。その上で他の金融商品と同等に、損益通算や繰越控除を可能にするよう求めた。また少額の決済であれば、課税対象としない少額非課税制度を設けることを要望した。

今年5月には、仮想通貨から暗号資産へと呼称を変更する改正資金決済法や、暗号資産を金融商品の1つとし、デリバティブ(金融派生商品)の規制を適用する改正金商法が成立した。改正法の施行は2020年春を見込んでおり、施行とあわせて税制の変更を求めた格好だ。

現在、仮想通貨のデリバティブ取引は総合課税であり、最高税率は55%(所得税45%、住民税10%)に上る。要望のとおり申告分離課税が適用されれば、税率は20%(所得税15%、住民税5%)になる。

日本仮想通貨税務協会理事長の岡田佳祐氏は、CoinDesk Japanの取材でこう述べた。

「仮想通貨取引において申告分離課税が実現されることが期待される。そうなれば仮想通貨取引の活性化に役立つだろう。そもそも仮想通貨には複雑な税制があり、利用者も困惑している状況だ。多額の税金による負債をもつ方もいる。税制改正により仮想通貨・ブロックチェーン業界へのマイナスの印象が和らぎ、業界が発展することを期待する」

文:小西雄志
編集:佐藤茂
写真:Shutterstock