不動産業界のブロックチェーン導入──ビットフライヤーグループ参入、LIFULLも実証実験

不動産業界のブロックチェーン導入──ビットフライヤーグループ参入、LIFULLも実証実験

Brady Dale
公開日:2019年 8月 15日 11:00
更新日:2019年 11月 5日 18:06

仮想通貨取引所bitFlyerのグループ会社・bitFlyer Blockchain(ビットフライヤー・ブロックチェーン)も参入を表明した「不動産業界」も、ブロックチェーンの活用が大いに期待される分野だ。

日本の不動産業界では、あらゆる物件情報が、不動産取り扱い業者のみが利用できるデータベース「レインズ」(Real Estate Information Network System、不動産流通標準情報システム)に集中している。

不動産取引では、それが物件の売買であっても賃貸であっても、さまざまな書類の作成と契約が必要だ。賃貸であれば貸主と借主、売買なら売主と買主が、そして仲介会社や管理会社も存在する。この業界ではまた、物件情報をFAXでやり取りしたり、紙の書類を郵送したりということが行われている。

こうした状況ゆえ、ブロックチェーンを活用した効率化の余地は十分にある。例えば内見の日程調整、申し込みから契約締結までの流れをリアルタイムに共有しながら進められるほか、契約書などの書類を作成して郵送する手間が不要になり、時間も労力も削減できる。また情報が不動産業者のみに集中する非対称な状況も解消できるかもしれない(2019年10月追記)。

スマートコントラクトを活用した不動産契約プラットフォーム…… GAテクノロジーズ

不動産契約にスマートコントラクトを活用する構想を2018年9月に発表しているのが、中古不動産流通プラットフォームサービス「RENOSY(リノシ―)」を運営しているGAテクノロジーズだ。

GAテクノロジーズはまず、不動産契約の中でも「賃貸」に特化して開発する。スマホやパソコンで、賃貸物件の借主と貸主が申し込みから契約、入居審査の完了、居住後の生活に関わるサービスや物件管理まで一つのプラットフォームでやり取りできる仕組みを構築するという。将来は、賃貸に限らず売買契約でも同様のサービスを提供したい考えだ。

大手仮想通貨取引所グループが不動産業界へ──ビットフライヤー・ブロックチェーン、積水ハウス、住友商事

積水ハウスとビットフライヤーは2016年夏頃から、ブロックチェーンを基盤とした不動産情報の管理システムの構築を検討してきた。2018年には基本モデルを開発、2019年初頭には積和不動産のアプリ上で連携を始めるという。

また住友商事とビットフライヤー・ブロックチェーンが2019年7月23日に発表したのは、住宅の賃貸契約に関連する業務の一部をブロックチェーンプラットフォーム上で行うもの。

ビットフライヤー・ブロックチェーンは、仮想通貨取引所bitFlyerを共同で立ち上げた加納裕三氏が代表を務める新会社。スマートコントラクト機能を備えた、独自のエンタープライズ向けブロックチェーン「miyabi」を使い、賃貸契約を電子化。不動産物件の内見予約から契約まで行えるようにしたい考えで、2019年後半にプロトタイプの開発・検証を完了させた後、一般利用者への提供を始めるという。

将来の構想として、ブロックチェーン以外の技術も取り入れることで、スマートフォンで物件検索から内見予約、契約、入居、各種費用の支払いまで、さらには契約更新や退去手続もできる仕組みを構築するという。賃貸に限らず、売買や住宅以外の契約についても視野に入れている。

ブロックチェーンを活用した不動産情報コンソーシアム「ADRE」……LIFULLほか

不動産大手のLIFULLがNTTデータ経営研究所などと共に立ち上げた、ブロックチェーンを活用した不動産情報コンソーシアムが「ADRE」。ADREは“Aggregate Data Ledger for Real Estate”の略で、2018年11月に設立を記念したイベントが開催されている。

活動の目的は、不動産情報の管理、共有プラットフォームを構築するというもの。不動産情報のデータをオープンにし、情報の質を高めるためにブロックチェーンを活用、業務の効率化を目指すという。

前身にあたる実証実験が始まったのは2017年12月。その後、地図大手のゼンリン、家賃保証・賃貸保証会社の全保連、三菱UFJリースなども参加して、合計8社で設立された。

空き家・所有者不明不動産問題の解決へ、ブロックチェーン使った権利移転記録の実証実験──LIFULL【2019年10月追記】

LIFULLは2019年11月から、空き家、未登記で所有者が分からない不動産の問題を解決するため、ブロックチェーン技術を活用した不動産権利移転記録の実証実験を始める。

LIFULLによると、所有者不明の不動産は2016年時点で約410万ヘクタール(九州全土の面積を上回る)と推計され、このまま対策を講じなければ2040年には約780万ヘクタール(北海道全土に相当する)に拡大する可能性があるという。

そこで同社は、市場価値がゼロに近くなってしまった不動産をオーナーから無償譲渡してもらって実証実験を行う。譲渡の流れとして、(1) トークン移転をもって不動産の権利移転(譲渡)とみなす当事者間契約の締結、(2) 既存の権利証明ファイルのハッシュ値を含んだNFTの生成、(3) トークンの移転(トランザクションの生成)、(4)移転トランザクションの値を記載した権利証明書の発行──というものを想定している。

LIFULLリリースより

検証のポイントは3つで、「登記費用・手続きがハードルとなって進まない不動産の譲渡が、本スキームにより推進されるか」「不動産権利のNFT化および移転証明がブロックチェーン技術を用いて実行可能か」「ブロックチェーン上の移転記録に対する移転当事者からの懸念および生じる課題は何か」という。

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文:濱田 優、CoinDesk Japan
編集:小西雄志、佐藤茂
写真:Shutterstock
(編集部より:中古不動産流通プラットフォームサービス「RENOSY(リノシ―)」の名称を訂正して、記事を更新しました)