SMBCグループと業務提携、HashPortが譲渡できないNFT「ソウルバウンドトークン」のセミナー開催

「ソウル・バウンド(Soulbound)」という英語がある。直訳すると「魂に結び付けられた」となるが、よく使われるのは「他人に譲渡できない」アイテムを示す場合。海外のファンタジー・ゲームなどではおなじみの表現となっている。

このコンセプトに基づいて考案されたNFTの一種が「ソウル・バウンド・トークン(SBT)」。これはブロックチェーンに刻み込まれ、改ざんが不可能で唯一無二の存在というNFTの特性はそのまま、さらに特定ウォレットと紐づけて他人に譲り渡せなくしたものだ。

いまSBTが注目を浴びている理由は、「経歴」「経験」を証明する手段として、これからの社会のあり方を大きく変える可能性を秘めているからだ。

その可能性を模索する実証実験を、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)とのタッグで始めたHashPortは12月23日午後5時から新規事業開発者向けセミナー「譲渡不可能なNFT(SBT)がWeb3にもたらす新機軸!」を開催する。

登壇者はSMBCグループ常務執行役員の磯和啓雄氏、同グループデジタル戦略部上席推進役の下入佐広光氏、HashPort代表取締役の吉田世博氏、同社SBT担当マネージャーの籔祐人氏、メディアパートナーを務めるcoindesk JAPAN代表取締役の神本侑季の5人で、SBTの可能性と未来を語り合う。

参加は無料で、こちらのサイトから申し込める。

申し込み(参加無料)

SBTで、いったい何が変わるのか?

たとえば、転職・副業の面接。「仕事のスキルを証明したい」と思っても、言葉で相手を説得するのは簡単ではない。面接官も頭の中では「口だけなら何とでも言える」と思っているからだ。

一方、SBTで「xxプロジェクトでリーダーを務めた」とか「xxサービスの立ち上げに参加した」といった実績が証明できれば、より客観的に自分の実力を相手に示すことができる。

また、さまざまな立場の個人が、さまざまな形で働く「DAO(自律分散組織)」的な組織が登場するなか、「xx社に15年間勤務、xxやxxを担当」といった経歴だけでは表しきれない仕事力を示す指標も必要になってきている。

さらにSBTはプライベートで「毎年ライブに欠かさず通っている」「いつも音楽を聞いている」といったエピソードを、相手に理解してもらいたいときにも力を発揮する。相手に「x月x日に、このライブに来た人だけがもらえるSBT」「曲を1000回聞いた人だけがもらえるSBT」を見せれば、「ファン度合い」は一目瞭然だからだ。

「相手に見せたい自分」は、SBTを使って自分自身でコントロールする時代に

SBTのもう一つの利点は、情報を「自分自身でコントロールできること」だ。

いくら便利でも、世の中のありとあらゆる人に、自分の経歴・実績・プライベート情報をすべて見られてしまうとなれば、誰もそんなサービスは使わないだろう。

しかし、SBTは、使いたい用途によって個別に切り分け、相手に開示することができる。

たとえば、仕事とプライベートとの切り分けも「仕事用ソウル」「音楽用ソウル」など、「複数ソウル(ウォレット)」を使い分けることで実現可能だ。

音楽用ソウルはニックネームで気楽に運用。仕事用ソウルは、仕事関係者だけに「本人特定可能な個人情報」の参照許可を出す、といった運用を行えば、オンラインで「音楽ファンとしての自分」と「仕事人としての自分」をしっかりと分けられる。

このあたりはSNSで複数アカウントを使い分けることに似ているかもしれない。

HashPortとSMBCグループのタッグが拓く可能性

今後、日本のWeb3経済圏の普及に伴い、大きな意味が出てきそうなSBTという存在。

HashPortとSMBCグループは2022年12月8日、SBT領域での業務提携に合意。2023年3月末までの第1フェーズで、SMBCグループの試験的なSBT発行をHashPortが技術支援。第2フェーズでは、トークンを活用したファンコミュニティの形成や、各領域でのマーケティング実施など、他企業・プレイヤーも巻き込みながら具体的な実験を行っていく方針だという。

セミナーでは、SBTが必要とされる背景や、具体的にどんなエリアで利用がなされる可能性があるかなどが、より具体的に語られる予定。

SBTの活用は、ビジネスに新機軸をもたらすチャンス。Web3関連の新規事業担当者を始め、幅広いビジネスパーソンとって必見のイベントだ。

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|テキスト・編集:coindesk JAPAN
|写真:N.Avenue