膠着相場を打開したビットコイン、2月は調整の可能性も【bitbankレポート】

連休の影響もあり、出来高が細り16,000ドル台で閑散相場となっていた昨年末のビットコイン(BTC)相場だが、ソラナ(SOL)やライトコイン(LTC)相場が年始に上昇したことが支えとなり底堅く推移すると、12月の米雇用統計で賃金上昇率が鈍化したことが好感され17,000ドル台に乗せた。これにより、12月の米消費者物価指数(CPI)低下期待が加速すると、ビットコイン相場はさらに動意づき18,000ドル乗せを試した。

前年比の米CPIは6カ月連続の減速となり、3カ月連続で0.5%ポイント低下と順調なペースを記録し、2月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅縮小と年内利下げ開始観測が台頭。これを受けてビットコイン相場は上値を追う展開となり、21,000ドル周辺まで戻し、FTXショック後の下げ幅を奪回した。

その後は21,000ドルを挟み込み相場は足踏みとなったが、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーラー理事とフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁らから利上げ幅縮小を支持する発言があり、22,000ドルを回復。これによりビットコイン対ドルは昨年11月の下げ幅を完全に回復し、節目23,000ドルでの揉み合いに転じた。

足元ではFOMCを控え、2022年第4四半期の米GDP成長率や、12月の米個人消費支出(PCE)が市場にとって良好な結果となっても相場ははっきりと方向感を示すことができなかったが、一部アルトコイン相場の上昇に再び支えられ、24,000ドル回復をうかがう展開となっている。

ビットコイン対ドル日足チャート(Glassnodeより作成)/bitbank

新年からにわかに反転したビットコイン相場だが、FRBによる利上げ幅縮小、5%での利上げ打ち止め、そして年内利下げ開始観測が正当化されるかが2月FOMCでの焦点となる。

製造業とサービス業の購買担当者景気指数(PMI)といったDIの50割れに加え、継続的なインフレ統計の減速、さらにはトリム平均PCEインフレ率の政策金利誘導目標上限割れなどから鑑みて、FRBも利上げペースに関して一層慎重にならざるを得ない状況になってきたと言えるが、FRB高官らからは利上げの打ち止めや利下げに関しての発言は出ておらず、市場の期待感が先走っているようにも思える。

FF金利先物市場では、利上げ幅の50ベーシスポイント(bp)から25bpへの縮小が99.9%織り込まれており、実際にFOMCで利上げ幅縮小が決定されても相場の上昇余地は限定的かと指摘される。むしろ、利上げ停止や利下げに関してのヒントがなければ材料出尽くし感で売りが入るシナリオに用心しておきたい。

また、テクニカルの側面でも、ビットコイン対ドルは相対力指数(RSI)のダイバージェンスが指摘され、価格トレンドの反転シグナルが点灯している。ダイバージェンスは足元の価格トレンドが勢いを失いつつあるサインとされ、ある程度確度の高いシグナルとも言われる。

ビットコイン対ドル日足チャートとRSI(Glassnodeより作成)/bitbank

以上のことから、目先のビットコイン相場は調整のリスクを孕んでいると見ているが、心理的節目の2万ドル周辺にテクニカル的なサポートが密集しているほか、アルトコインの買いに支えられる可能性もあり、調整が入ったとしても短期的に押し目を形成する程度と見ている。


長谷川友哉:ビットバンク(bitbank)マーケット・アナリスト──英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

|編集・構成:増田隆幸
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