2019年:消費者を無視し、インフラが進歩した1年

2019年:消費者を無視し、インフラが進歩した1年

Brady Dale
公開日:2019年 12月 28日 07:00
更新日:2019年 12月 28日 07:00

ジェイク・ブルクマン(Jake Brukhman)氏はCoinFundの創業者兼マネージング・ディレクター。


2019年上半期の部分的な回復の後、フェイスブック(Facebook)のリブラ(Libra)構想の発表に特徴づけられた2019年の半ばには、仮想通貨市場はグローバル規模の政府の監視と規制の不透明さにさらされた。

2018年の弱気市場を受けて投資家が望んだ市場の回復からは程遠いが、ブロックチェーン分野は「仮想通貨に特化した」人たちの期待には及ばなかったようだが、技術的な成熟度においては進展を遂げた。

それでもなお、2019年の現時点(11月の記事執筆時点)までにデジタル資産の時価総額は63%増加した。2019年がこれまでのような浅薄な投機的取引と劇的な高値に特徴づけられなかったとしても、インフラにおける進展の年だった。

市場導入は苦戦

イーサリアムのような運用可能なスマートコントラクト・ブロックチェーンが稼動中であるにも関わらず、ここ数年、各プロジェクトは分散型アプリケーションの市場導入に苦戦している。

業界が単に先に進み過ぎているのかもしれない。

「モバイル・アプリケーション」の進展を振り返ると、iPhoneのようなスマートフォン、アンドロイドのようなモバイルOSといったインフラが極めてアクセスしやすく、使いやすく、手頃な価格になるまで、数十億ドル規模のビジネスとしての地位を固めることはなかった。

同じように、スケーラブルなブロックチェーン、ユーザーフレンドリーなウォレット、ノードやデータサービス、そしてデジタル資産のための金融業界からのサポートといった形でのブロックチェーン・インフラが、主流市場への導入を生むようなスピードで分散型アプリケーションを開発するための前提条件なのかもしれない。このようなインフラの発展が2019年のテーマだった。

下位レイヤーでは、複数の第2世代スマートコントラクト・プラットフォーム──ポルカドット(Polkadot)、コスモス(Cosmos)、テゾス(Tezos)、ニア(NEAR)──がスループット、相互運用性、ネットワーク・ガバナンス、ユーザビリティーにおいてイノベーションを生み出し、イーサリアムのマーケットシェアと複雑なイーサリアム2.0へのロードマップに挑んでいる。

さらにダッパー・ラボ(Dapper Labs)は、ゲームとそのノンファンジブル・トークン、デジタル資産のユーザビリティーに特化したベースレイヤーであるフロー(Flow)を発表し、同時にNBAトップ・ショット(NBA Top Shot)との大規模なパートナーシップを発表した。

スケーラビリティは次の段階へ

仮にヌリエル・ルビーニ(Nouriel Roubini)氏のような批評家が事前にブロックチェーンのスケーラビリティの見通しの不透明さを主張したとすれば、2019年は彼らの間違いを証明した。ブロックチェーン・スケーラビリティは次の段階に来ている。

まず、高度なコンセンサス・アルゴリズム、シャーディング、パラレリズムの採用によって、新しいベースレイヤーは高速化された。

ゼロ知識証明を使って保存に必要な容量を削減した仮想通貨コーダ(Coda)は、テストネットへと移行し、スマートフォンで実行できる新しいタイプのベースレイヤーをスタートさせた。

コネクスト(Connext)のステートチャンネルやマッター・ラボ(Matter Labs)のZKロールアップ技術といった多くの「レイヤー2(layer 2)」技術は、高速な決済と、安価かつスケーラブルでプライバシーを保護するスマートコントラクトを可能にするという点で前進を遂げた。

同時に、GEOプロトコル(GEO Protocol)のような技術は、異なるブロックチェーン、異なるネットワーク、そして伝統的な法定通貨決済を超えた迅速なやり取りのためのクロスチェーン相互運用性を重視している。

スタート地点としての2019年

2019年、業界の勢いの多くは取引所や取引からではなく、明らかにインフラのレイヤーから生まれた。

ノードインフラを提供するブロックデーモン(Blockdaemon)は、市場が新しい分散型ネットワークを急増させている傾向を認識し、現在、22ものそうしたネットワークから収益を生み出し、毎月成長を続けている。

ザ・グラフ(The Graph)は、400を超えるパブリック・スマートコントラクト・サブグラフを提供し、リクエストボリュームは数百万ものデイリー・データ・クエリを記録している。

一方、3ボックス(3Box)の自己主権型アイデンティティーとデータ・ソリューションは、メタマスク(MetaMask)などのウォレット、ポーティス(Portis)やオーサリアム(Authereum)などの多くの新しいユーザー・オンボーディング・ソリューション、そしてガバナンス実験のモロクダオ(MolochDAO)などを含む、イーサリアムのエコシステム全体を急速に統合している。

ブロックチェーンが主流となるまでの道のりは、ブロックチェーン・インフラをサポートし、伝統的な投資家をデジタル資産ネットワークに参加させ、投資させる機関投資家の支援にかかっている。そのため、取引所のコンプライアンス・レベルは、機関投資家をサポートするために高まっている。

フィデリティ(Fidelity)、エリスエックス(ErisX)、レジャー(Ledger)、ICEはすべて、仮想通貨を保有する必要がある機関投資家をターゲットにしたデジタル資産カストディサービスをローンチした。

さらに、20を超えるブロックチェーンに特化した分析企業が市場に存在し、その一部は機関投資家向けサービスに次第に磨きをかけている。

合法的なDAOラッパーから、フィアット・オンランプ、ゼロ知識証明システムまで、2019年のインフラのイノベーションの幅広さは、1つの記事には収まりきらない。

しかし2020年には、改善されたインフラは、投資家、機関投資家、企業、そして一般顧客のための次世代ブロックチェーン・プロダクトを支えていく。

ブロックチェーン技術の下位レイヤーが成熟した時、我々はブロックチェーン普及のスタート地点として2019年を振り返るようになるだろう。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Jake Brukhman, Coinfund Founder
原文:Never Mind Consumers, This Was a Year of Steady Infrastructural Progress