2020年、DeFiは主流になり得るのか? 問題はユーザビリティ

2020年、DeFiは主流になり得るのか? 問題はユーザビリティ

Brady Dale
公開日:2020年 1月 10日 19:00
更新日:2020年 1月 10日 19:29

アレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)氏は技術者であり、ベテラン起業家。イーサリアムベースの融資プラットフォーム「セルシアス・ネットワーク(Celsius Network)」のCEO。


DeFiは、まだ遠い道のりにある

2019年はDeFi(分散型金融)の未来に向けて、スローだが着実に進歩した重要な1年だった。

ビットコイン(BTC)は再び1万ドルを超え、デジタルゴールドとしてのポジションを確実なものにした(米連邦準備制度理事会の議長の言葉より)。イーサリアムのエコシステムは拡大を続けている。エキサイティングで、新しいDeFiベンチャーは、分散型VPNプロバイダーからブロックチェーン・インフラプロジェクト決済プロバイダーまで、毎週、注目を集めている。

同じく重要なこととして、2019年は世界的にある傾向が加速した。つまり、中央集権化した権力への不満だ。銀行や金融機関への一般的な不信感は深まり、ソーシャルメディア上のフェイクニュースは増加した。腐敗、不平等、権威主義に対して、香港からサンティアゴまで、人々はデモを行い、構造の変化や新しい政府を要求した。冷戦後の秩序は一触即発の状況にまで達した──これが、すべての道は人々が資産、データ、金融の未来のコントロールを握る“分散型の未来”へとつながる理由だ。

確かに、DeFiはまだまだ遠い道のりにある。仮想通貨の時価総額合計は(当記事執筆時点で)1950億ドル(約21兆円)、アメリカで10位の銀行が管理する資産1500億ドル(約16兆円)弱を上回っている。アメリカの大多数の消費者はまだ仮想通貨を保有していない。ほとんどの消費者は銀行や他の中央集権的な金融機関にお金を預け、投資先は株や債券だけだ。

2020年、仮想通貨コミュニティは難しい立場にあることを知るだろう。なぜなら我々はベースレイヤーのインフラを作ることに忙しく、熱心な支持者からのサポートを強化していたため、平均的な消費者のことはほとんど忘れていた。

我々はDeFiを主流の金融サービスの領域に持ち込まなければならない。だが、そのためにはDeFiプロジェクトはわかりやすい「入り口」が必要だ。つまり、優れたユーザーインターフェース、アクセスしやすい製品・サービス、ステーブルコインなど、仮想通貨をよく知らない人々でもデジタル資産を簡単に購入でき、分散型金融サービスに参加できるようにしなければならない。

重要な3点

まず1つ目、DeFiには親しみやすく直感的で楽しいインターフェースが必要だ。DeFiプロジェクトは、マルチシグ・コントラクト、データ・プライバシーの保護、ブロックチェーンへのアクセス、その他すべての分散型機能を維持することが可能で、維持しなければならない。だが、主流のプラットフォームやオンラインバンキングのように、そうした機能は消費者に優しいカバーの下に隠しておくべきだ。

2つ目、DeFiコミュニティは大多数向けに製品・サービスを作るべきだ。トレーディングやアービトラージ(裁定取引)のプラットフォームはデイトレーダーやヘッジファンドには役に立つが、DeFiを最も必要とする人々は仮想通貨を頻繁に取引したいわけではない。DeFiプロジェクトはピア・ツー・ピア取引に注力し、金融サービスから手数料をなくすことで、ビットコインの本来の目的を再発見しなければならない。私がCEOを務めるセルシアス・ネットワークをはじめ、ボイジャー(Voyager)、コンパウンド(Compound)、モナーク(Monarch)などのプロジェクトは、融資、利息、資産管理、担保付きローンのような、より一般的な金融サービスを提供している。こうしたサービスを提供することによって、DeFiは、収入や年齢、場所に関わらず、世界中のより多くの人々に真の価値を提供し、リーチを広げることができる。

3つ目、DeFiの提供者は、多くの人々は価格のボラティリティのために、デジタル通貨への投資にまだ不安を感じているという事実を意識すべきだ。その結果、ステーブルコインは中央集権的な法定通貨資産から分散型の仮想通貨への重要な架け橋となる。初めて仮想通貨を購入した人は、 ステーブルコインは銀行口座のドルよりも高い利率を得ることができ、 担保価値の低下を心配する必要がないことを知って驚くことだろう。法定通貨に似たステーブルコインは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、そして他の仮想通貨とDeFiプロジェクトの前触れとして機能する。

要するにDeFiと仮想通貨は主流に成り得る。だが、フェイスブックやグーグルと同じように簡単に使える必要がある。初めて泳ぐ人を深いプールに投げ入れても泳げないことと同じで、仮想通貨に初めて触れた人に複雑なDeFiサービスを紹介しても熱烈な保有者にはならない。2020年、我々の努力を、DeFiを誰でも参加できて分散化のメリットを享受できるようにすることに集中しよう。どのみち、ビットコインが11年目の誕生日を迎えたところで、我々は年を重ねているだけだ。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:shutterstock
原文:How DeFi Goes Mainstream in 2020: Focus on Usability