MIT、決済を効率化する技術を発表──「スパイダー」とは?

MIT、決済を効率化する技術を発表──「スパイダー」とは?

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らはオフチェーンの仮想通貨決済ネットワークの混雑を回避する技術を共同開発した。

より早く、よりスケーラブルな決済を実現

MITコンピューター科学・人工知能研究所(CSAIL:Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory)の大学院生、ビブハラクシミ・シバラマン(Vibhaalakshmi Sivaraman)氏をはじめとする開発者らによると、この仮想通貨ルーティングスキーム「スパイダー」はより効率的なタイプのペイメント・チャネル・ネットワーク(PCN)を実現する。

ビットコインのライトニングネットワークのような「レイヤー2」のスケーリングソリューションで使われるPCNでは、ユーザーはまず任意の額の仮想通貨をアカウントに預け入れる。決済はそうしたアカウントが相互に接続されたネットワークを使って行われ、アカウントのセットアップとクローズのみがブロックチェーンに記録される。

その結果、ブロックチェーン上で直接行うよりも、早く、スケーラブルな決済が可能になり、実店舗での仮想通貨決済を実現可能にする方法とアピールされている。

例えば、ビットコインの決済は現在、承認に平均で約11分かかり、ピーク時には15分を超えることもある。一方、ライトニングネットワークでは数ミリ秒〜数秒と言われている。

トランザクションを「パケット」に分割

CSAILのレポートによると、PCNは非効率的なルーティングスキームによって遅延することがある。アカウントはしばしば動かなくなり、ユーザーは頻繁にお金を追加しなければならない。

スパイダーは、より効率的なルーティングスキームと言われており、参加者はアカウントにわずかなお金を投資するだけで良い。またブロックチェーンにイベントを登録するまでに、他のPCNに比べて約4倍のトランザクション数を処理できると言われている。

CSAILによると、スパイダーはトランザクションを小さなサイズの「パケット」に分割し、さまざまなレートで異なるチャンネルに伝える。トランザクションを小さなサイズの塊に分割することで、大きな支払いも低い資金レベルの可能性があるアカウントを使ったルーティングが可能になる。

他のシステムでは全額を送金した後、資金不足でアカウントに拒否される可能性があり、トランザクションが再ルーティングされることで遅延が発生する。スパイダーはネットワークを詰まらせたり、失敗する可能性が小さい決済を行うことができると開発者らは語った。

「共同アカウントの双方のユーザーの資金をバランスさせる方法でお金をルーティングすることで、同じ初期資金を再利用して可能な限り多くのトランザクションをサポートすることが可能になる」とシバラマン氏は語った。

インターネット技術から着想

スパイダーは、インターネットに効率的にデータを送信する方法であるパケット・スイッチングから着想を得た。

この技術の別の機能では、決済は拒否されるのではなく、混みあったアカウントで実行を待つことが可能になる。開発者らはまた、混雑したアカウントを見つけることに役立つとアルゴリズムも構築した。

口座が空になり、ブロックチェーンに追加する必要がある一方向の決済がどのように処理されるかを調べるテストでは、スパイダーは他のPCNシステムよりも優れたパフォーマンスを発揮すると開発者らは語った。

研究者らは2020年2月後半のUSENIXシンポジウムで、スパイダーの論文を発表することを目指している。

「PCNではバランスの取れた、高いスループットのルーティングを備えることが重要。それによりユーザーがジョイント・アカウントに入れたお金が効果的に使われる」と論文の主執筆者のシバラマン氏は述べた。

「これは効率的で収益性の高いビジネスであるべき。つまり、できるだけ多くのトランザクションを、できるだけ少ないお金でルーティングし、PCNに支出に見合う最高の価値を与えることを意味する」

研究チームにはCSAILのメンバーのほか、イリノイ大学、カーネギー・メロン大学からの参加者も加わっている。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:MIT Develops ‘Spider’ Tech to Enable More Efficient Off-Chain Crypto Transactions

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