ブロックチェーンで年齢確認→仮想通貨で購入するビール自販機。SXSWで初運用

今までビールを求める人で行列ができていた場所に、今後は、シビック(Civic)の自販機が見られるようになるかもしれない。

2019年3月13日水曜日(現地時間)、ブロックチェーンで身分証明を管理し、仮想通貨シビック(CVC)を発行しているスタートアップ、シビック(Civic)は、テキサス州オースティンで開催中の映画と音楽の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」の自社ブースで、地元の定番ビールを販売する3つの“特別な”自動販売機を展示した。今回のデモンストレーションは、同社が今年正式に発売する予定の製品の試験的運用。この1万5000ドル(約170万円)の自販機は、使用者の年齢を確認することができ、仮想通貨による支払いに対応している。同製品は、現在先行予約を受け付けている。

「我々は身分証明と決済を1つのトランザクションに統合します」と同社のマーケティングディレクター、Titus Capilnean氏はCoinDeskに語った。

3月10日日曜日に自販機の稼働を開始して以来、1日150本のビールが売れ、売上高は約10万CVC、ドル換算で7600ドル(約85万円)に上るとCapilnean氏は推定している。

販売によって得られたトークンは、同社によってSXSW参加者にエアードロップ(無料配布)された。ビールの価格は1本200CVC。イベント開始時点でのドル換算だと約12ドルだと同氏は述べている。

同社のアプリ「シビック・ペイ(Civic Pay)」をダウンロードし、本人確認をしたiPhoneユーザーには、ビールを1杯飲むのに十分なCVCが付与された。自販機のスクリーンを何回かタップして、希望する飲物を選択すると、QRコードが表示され、そのQRをアプリでスキャンすると支払いが完了される。

「簡単に言うと、我々はこの自販機を作り、ここでテストしました」とCapilnean氏は今回のデモンストレーションについて語った。同社が一般向けに販売と身分確認を同時に行なったのは今回が初めて。

同アプリを利用したトランザクションは全て仮想通貨で決済されるが、ユーザーは、法定通貨と大差なく、かなり簡単に利用できるというのがコンセプトだ。シビックが年齢確認機能を初めて実演したのは、CoinDeskが開催する世界最大の仮想通貨会議「コンセンサス2018(Consensus 2018)」の場だった。その際は、ビール大手アンハイザー・ブッシュ(Anheuser-Busch)と提携して、自販機を設置していた。しかし、今年はモバイルアプリを利用した購入を可能とすることで、機能性をさらに向上させている。

R規制委員会の了承

同社が乗り越えなくてはならなかった問題は、技術的なものだけではなかった。

「これを実現するにあたって、テキサス州アルコール飲料委員会(Texas Alcoholic Beverage Commission)の了承を得ました」とCapilnean氏は述べている。同委員会の納得が得られたことにより、SXSWの運営者側も同製品に対して安心感を覚えたそうだ。

最優先事項は、未成年が飲酒をしていないことを徹底することだったと同氏は述べている。委員会の観点では、適切な年齢確認が行われている限り、それを行っているのが、人間なのか、機械なのかは関係なかった。

具体的な企業名は明かさなかったものの、アルコールの提供方法に改善の余地がある場所で同社製品を利用することを検討している企業とすでに話を進めていると同氏は述べている。例えば、スポーツイベントやバーなどが、年齢確認に自販機を活用し、アルコール提供者の負担を減らせる場所かもしれない。

いずれにせよ、同社は音楽フェスティバルが最も手近な機会だと信じているとCapilnean氏は述べた。

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Civic vending machines. (Photo by Brady Dale for CoinDesk)
原文:You Can Pre-Order This $15,000 Crypto-Powered Beer Vending Machine