- ビットコインは、FRBの利下げと韓国での米中首脳会談を受けて、一時10万8000ドルまで下落した。
- XRPやドージコインなどの主要な暗号資産も下落し、S&P500に連動する先物も下落した。
- FRBの金融緩和政策への転換は暗号資産市場にプラスの影響を与える可能性があるが、地政学的要因も依然として重要だ。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領と習近平国家主席との会談が良好な結果に終わったことを受け、ビットコイン(BTC)は10月30日の早朝、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の決定後に下落した分の一部を回復した。
アメリカ大統領は大統領専用機のエアフォース・ワンの中で、これは1年間の合意であり、延長されるだろうとも述べたと報じられている。トランプ大統領はまた、希土類(レアアース)の問題は解決され、今後、この問題に関する障害はなくなるだろうとも述べた。
トランプ大統領はまた、中国に対するアメリカの関税は57%から47%に引き下げられると述べた。ロイターによると、トランプ大統領は4月に中国を訪問し、その後、習近平国家主席がアメリカを訪問する予定だと述べた。
BTCは一時10万8000 ドルまで下落し、前日の11万3000ドルから11万ドルへの下落幅をさらに拡大していた。これは、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長が 12 月の利下げを軽視したことが引き金となった。
エックス・アール・ピー(XRP)とドージコイン(DOGE)は4%下落し、主要暗号資産(仮想通貨)の中で最も大きな損失を出した。イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、バイナンスコイン(BNB)、カルダノ(ADA)は3%もの損失を出した。
S&P 500 に連動する先物も下落する一方、ドル指数は99.00付近で安定し、前日の上昇を維持した。
BBCによると、トランプ大統領は習主席との会談の結果を発表することなく、韓国を離れた。「会談終了後に、両者は握手をして別れた」という。
トランプ氏が今週初め「両国は貿易合意に近づいている」と発言したことで、期待値は高まっていた。最近、中国がレアアース輸出の規制強化を決めたことへの報復として、トランプ氏が中国製品への100%関税を課すと警告したことで、貿易摩擦は激化していた。
10月29日早朝、FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)は、基準となる翌日物貸出金利を3.75~4.00%に引き下げた。FRBは、資産購入の縮小(量的引き締め)を12月1日に終了すると付け加えた。
この2つの政策転換は、暗号資産にとってまさに追い風となる。基準金利が3.75%~4%に引き下げられたことは、2年間の抑制的な金融政策の後、金融環境が緩和され始めることを示しており、実質利回りを低下させ、リスク選好を後押しする。
ビットコインやその他の比較的利回りの低い資産は、流動性が回復し、投資家が現金中心のポジションから成長株や代替価値保存手段へ資金をシフトさせる際に恩恵を受ける傾向がある。
12月1日のバランスシート縮小終了は、実質的にシステムへ純流動性を再導入し、銀行への圧力を緩和するとともにリスク資産全体の市場流動性を改善する。この環境は暗号資産トレーダーのリスクテイク行動を促し、デリバティブ市場でのレバレッジ再拡大をもたらす可能性がある。
しかし、より大きな変動要因は依然として地政学だ。米中貿易合意が固まり、関税がさらに撤廃されていけば、世界的にリスク選好が急上昇し、FRBのハト派的な姿勢を強化し、ビットコインの反発を11万5000ドル超まで拡大させる可能性がある。しかし交渉が決裂すれば、ドル高とボラティリティ急騰に伴い、投資家は新規ロングポジションを解消するかもしれない。
こうした状況下で、金融緩和政策と貿易摩擦の緩和が稀に見る好条件を形成し、11月にかけて暗号資産市場を支える見通しだ。ただし、流動性が完全に回復した後にこの「ソフトランディング」シナリオが持続するかどうかが、楽観論の成否を分ける。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:BTC Drops, Then Pops, as Trump Lowers China Tariffs


