仮想通貨「詐欺」を見抜く5つの注意点──米SEC

“史上最大の仮想通貨詐欺” といわれる「プラストークン」では約30億ドルが詐取されるなど、最近も仮想通貨に関する詐欺被害は絶えない。高配当や高利率をうたうなど、投資家心理につけ込む誇大広告も多い中、 仮想通貨の詐欺を見分けるにはどうしたらいいのだろうか。

米国証券取引委員会(SEC)は2018年、詐欺被害を防ぐため、投資家教育のための詐欺サイト を公開した。このサイトで購入ボタンを押すと、投資詐欺にだまされないための情報をまとめた情報サイトが表示される仕組みだ。

そこでは「以下の5つの条件に当てはまる投資詐欺は危ない」と警告されている。その5つの注意点を確認していく。

SECが制作した教育用の「詐欺サイト」

まずは詐欺サイトを見てみよう。ここでは、「トークンのプレセール」と称して、15%のボーナスを受け取れるタイムリミットが表示される。時間表示をすることで、「すぐに買わなければ」という心理状態に陥らせるわけだ。

「この機会を逃してはいけない」と投資を煽ったり、公的機関や有名人の名前を借りてトークンの信頼性をかさ上げしたり、誇大な計画をかたったりしている。

繰り返しになるが、このサイトで購入ボタンを押すと、詐欺サイト・詐欺情報にだまされないための注意点をまとめたSECのサイトに飛ぶ。そこでまとめられている「詐欺にありがちな共通点」が以下の5つだ。

1 高額で保証された収益を保証している

この項目でSECが指摘しているのは、「すべての投資家は、期待する収益に応じた一定のリスクを負っている」という投資の原則だ。高い収益には高いリスクが伴い、投資した金額の全てを損失することもある。

SECは「ほとんどの詐欺師は投資家に対して、極めて高い収益が保証されていると説得するために時間を費やしている」と注意喚起している。

2 有名人が推薦している

映画スターからプロアスリートにいたるまで、有名人はテレビやラジオ、SNSを通じてさまざまな商品やサービスをお薦めしているが、時には仮想通貨やICOを含む。

SECはこのサイトで、「有名な誰かが『この商品やサービスはよい投資になる』と言っているという理由だけで投資判断をするのは、決してよい考えではない」と指摘している。

3 「規制に準拠している」と主張している

多くのオンライン取引所は、国家の規制に準拠した取引所であると主張している。ハイクオリティのデジタル資産のみを取引できるように、取引所は厳しいスタンダードを適用していると述べるが、SECはそのようなスタンダードやデジタル資産をレビューすることはないという。

4 クレジットカードで投資できる

SECは、「投資会社が顧客に対して、クレジットカードで投資商品を買ったり、投資口座に入金すること」を認めていない。このことを投資家は理解すべきとサイトで警告している。

5 詐欺コインの価格をつり上げて売りぬく

ポンプ&ダンプ(パンプ&ダンプ)とは、 短い時間で価値のない資産の価格をつり上げた後で売りたたくという昔からあるやり方。典型的な詐欺師は、誤解を導く情報や嘘を広めることで、株価を押し上げる狂乱を生み出し、高い価格で保有している株を売りさばく。SECは「詐欺師が保有株を売って株価を押し上げることをやめれば、株価は急落し、投資家はお金を失うだろう」と述べている。

5つの共通点に当てはまれば詐欺というわけではないが……

以上の5つの共通点にあてはまっていれば必ず詐欺コインというわけでは決してない。しかし、仮想通貨詐欺、詐欺師の多くはこれらの点にあてはまる特徴を持っている。もし今までにもらった「おいしい情報」や検討している「仮想通貨案件」があるなら、まずは上述のサイトをのぞいたり、以上の共通点にあてはまっていないか確認してみたりしたほうがよいだろう。

文:小西雄志
編集:CoinDesk Japan
写真:Shutterstock、SEC公式サイト