FacebookのCEOがリブラを米議会で語る前に抑えておきたいポイント

FacebookのCEOがリブラを米議会で語る前に抑えておきたいポイント

Brady Dale
公開日:2019年 10月 24日 00:31
更新日:2019年 10月 24日 00:31

ソーシャルメディア大手のフェイスブック(Facebook)は2019年10月23日(現地時間)、またしても米議会で攻撃の矢面に立つことになる。仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」が議題の中心だ。

フェイスブックの創業者兼CEO、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は、下院金融サービス委員会で証言し、リブラは銀行を利用できていない個人の利益に適い、アメリカはリブラのローンチを許可すべきと主張することになる。ザッカーバーグ氏は他にも、最近発生した同社の差別に関する事例その他についても証言を行う。

そして過去にリブラが議会で取り上げられた時と同様、議員らはフェイスブックの主導する仮想通貨プロジェクトよりも、会社そのものに焦点を当てることが見込まれる。

デジタル商工会議所(Chamber of Digital Commerce)の代表、ペリアン・ボアリング(Perianne Boring)氏はCoinDeskに対して、リブラをめぐる以前の公聴会でフェイスブックのブロックチェーン責任者デビッド・マーカス(David Marcus)氏が下院金融サービス委員会と上院銀行委員会で証言を行った際、フェイスブックが「最重要な焦点」となっていたと述べた。

確かにザッカーバーグ氏も、10月22日(現地時間)に発表され、事前に準備していた証言文の中で、自社に向けられている不信感について認識しており「このアイデアを推し進めているのが、フェイスブック以外の誰かだったら良かったのにと人々は思っていることでしょう」と記した。

「こうした過去の問題に焦点を当て続けたいという誘惑は、一部の人にとって打ち勝てないほどに強いものかもしれません」と、ボアリング氏は述べた。

それでもザッカーバーグ氏は、リブラは素早く安価な国際送金を可能にし、世界中の17億人の非銀行利用者層に金融サービスを届ける助けになることができると主張することが見込まれる。同氏はさらに、リブラが中央銀行に取って代わったり、既存の金融政策を混乱させるという考えには反対するだろう。

初期の試練

リブラ構想が最初に公開されてからわずか4カ月しか経っていない。フェイスブックは6月、既存のメッセージングプラットフォームや、第三者のウォレットを通じてシームレスに取引可能な仮想通貨のビジョンを発表した。フェイスブックがプロジェクトを運用する唯一の組織とならないようにするために、リブラはリブラ協会(Libra Association)と名付けられた運営評議会によって監督されることとなった。

フェイスブックは当初、子会社のカリブラ(Calibra)や、ザッカーバーグ氏が役員を務めるベンチャーキャピタルファンドのブレークスルー・イニシアチブ(Breakthrough Initiatives)を含め、28社の企業がリブラの「創立」パートナーとなると発表していた。しかしそのうち、ペイパル(PayPal)、ストライプ(Stripe)、ビザ(Visa)、マスターカード(Mastercard)、ブッキング・ホールディングス(Booking Holdings)、メルカドパゴ(Mercado Pago)、イーベイ(eBay)の7社が、リブラ協会の正式発足の前に離脱した。

特にストライプ、ビザ、マスターカードは、各社のCEOが民主党のブライアン・シャッツ(Brian Schatz)上院議員(ハワイ州)とシェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員(オハイオ州) から、リブラへの参加を続けた場合には規制当局による監視が強まる可能性を警告する同一内容の書簡を受け取り、議員らからの圧力を感じていた。

フェイスブック自身を含まない残りの21社は先週、憲章に署名したが、リブラ協会はリブラのローンチ前にメンバーを100社まで拡大する計画である。

ザッカーバーグ氏は10月22日(現地時間)発表の証言文の中で、ローンチのためには、リブラは法定通貨や国際金融システムの脅威にはならないということを規制当局が納得する必要がある、と述べた。

リブラはアメリカの議員や規制当局だけではなく、世界の議員らをも納得させる必要がある。フランスやドイツの大臣らは、自国内でのリブラのローンチを阻止することを目指すと警告している。

10月23日(現地時間)の公聴会で議員らが具体的にどのような質問をするかは不明だが、少なくとも民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)下院議員(ニューヨーク州)は、10月22日の夜(現地時間)に質問案を募集した。以前の公聴会で同議員はマーカス氏に対し、リブラの基礎となるプログラミング言語のセキュリティー上の特徴から、企業がかつて従業員への支払いに利用した民営マネーの一種であるスクリプ(scrip)とリブラのどこが異なるのかまで、様々な質問を投げかけた。

議会における激しい非難

10月23日(現地時間)の質問は、データプライバシーや公正な慣習に関する、フェイスブックの過去の行いが中心になる可能性が高いが、議員らの質問は、より広範に、政治家が仮想通貨業界をどのように捉えているかを象徴するものとなり得る。

それでもリブラへの反発は、より広範な影響を持つ可能性もある。金融サービス委員会の議員らは10月22日(現地時間)に「管理されたステーブルコイン」を1933年証券法の下での証券として分類する新しい法律を提案した。

法案は特に、その価値が1人以上の個人によって、管理または保有される「資産のプールまたはバスケット」に連動するステーブルコインを対象としている。

リブラは、その価値が法定通貨のバスケットに支えられるステーブルコインとなることが意図されている。(先日そのモデルを変更しなければならない可能性も認めたが。)

ボアリング氏によれば、10月22日(現地時間)に金融サービス委員会が提出した法案は、イノベーションを抑える方向に向いているように見える。ボアリング氏は次のように述べた。

「リブラもその1つですが、他にも多くのものがあり、技術的進歩の重要性を鑑みたより慎重なアプローチが見られるのが好ましいと思います。ステーブルコインに関する先進7カ国(G7)の作業部会による報告書に概説された検討事項をじっくり考え、アメリカが技術革新を主導し続けられるように、アメリカを前進させる戦略を開発していくような方向です」

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Mark Zuckerberg in Washington, D.C., image via Shutterstock
原文:What to Expect When Facebook’s Zuckerberg Defends Libra on Capitol Hill