
- 米証券取引委員会(SEC)は3月12日、複数の暗号資産(仮想通貨)現物ETF(上場投資信託)申請に対する決定を延期した。
- ドナルド・トランプ大統領が委員長に指名したポール・アトキンス(Paul Atkins)氏が議会で承認される前に、SECがETF申請を承認または却下する可能性は低いと、2人の関係者がCoinDeskに語った。
米証券取引委員会(SEC)は最近、いくつかの暗号資産ETFの申請を受理したものの、委員長の選任が一段落するまで、これらの商品を承認する決定を下すことはなさそうだ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のETFアナリスト、ジェーム・·セイファート(James Seyffart)氏は、「(ポール・)アトキンスの就任が確定する前に、これらの申請が最初の期限に沿って承認されていたとしたら、非常に驚いただろう」と語り、次のように続けた。
「アトキンス氏が正式にSEC委員長に就任するまで延期できるものは延期されるだろうと、我々は考えている」。
この件に詳しい人物はCoinDeskに、その意見に同意するとしつつも、次のように語った。「この政権は前例を破る力を見せているため、早期承認もあり得るだろう。そうなれば驚くことは驚くだろうが、何が起こるかはわからないものだ」。
トランプ氏は、元SEC委員で現在はコンサル企業パトマック・グローバル・パートナーズ(Patomak Global Partners)でCEOを務めるポール・アトキンス氏をSECのトップに指名した。
ゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)前SEC委員長は、トランプ氏の就任に伴って1月に委員長を辞任した。しかし、アトキンス氏の承認に関する公聴会はまだ予定されていない。
SECは3月12日、エックス・アール・ピー(XRP)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)、ライトコイン(LTC)を含む複数の暗号資産ETFに関する決定を延期した。セイファート氏によれば、この決断は完全に予想されていたものではなかったが、衝撃的なものでもなかったという。
ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の現物ETFは、両資産の先物市場が確立されていたにもかかわらず、発行者がSECから認可を受けるまでに何年もかかった。
確立された先物市場は、ある資産に基づくETFを立ち上げるための法的要件ではないが、SECがビットコインとイーサリアムに連動するETFを承認する際には、重要な基準となった。
現在申請中のETFはいずれもこの基準を満たしていない。とはいえ、セイファート氏らは、年内に複数のアルトコインETFが承認される確率は65%以上と見ている。5月と6月に決定が予定されている申請の中には、その時点で承認される可能性が高いものもあるが、すべては新委員長の指名承認にかかっている。
過去のビットコインとイーサリアムETFの申請に対する審査では、SECはおおむね、手続き上の遅延を利用して期限を240日近くまで延長した。これが、申請の承認または却下にSECが使える最長の期間である。
「理論的には、それまでに委員長が決まるはずだが、そうなってもすぐに申請が承認されるとは限らない。それでも確かに、さまざまな暗号資産現物ETFにとっては、3月や4月という期限よりは可能性がある」と、セイファート氏は語った。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Piotr Swat / Shutterstock.com
|原文:Crypto ETFs Likely Won’t Be Approved Until New SEC Chair Is Sworn In