アメリカ、中国に遅れを取るな──EU、500億円規模のブロックチェーン・ファンドをローンチ

EU(欧州連合)は、ブロックチェーンおよびAI(人工知能)のイノベーションにおいて、アメリカや中国などの国々に遅れを取らないようにするために新しいファンドを立ち上げた。

個人投資家の資金を呼び込む

欧州投資基金(European Investment Fund:EIF)と欧州委員会(European Commission)は、ベンチャーキャピタルや投資家を通じて、AIとブロックチェーン向けの資金を調達する専用の投資スキームのために、共同で1億ユーロ(約120億円)の資金を供出した。中小企業に間接的に資金を提供するために設立されたEU機関のEIFが2019年11月20日(現地時間)、ブログで発表した。

「基盤となる」資金があることで、個人投資家が同ファンドに最大3億ユーロ(約360億円)の資金を投資することが期待される。さらに、各国の機関もこのスキームのもとで共同投資できるため、合計額は来年以降、さらに増加する可能性があるとEIFは述べた。

ヨーロッパのテクノロジーやスタートアップに特化したメディア「シフティッド(Sifted)」は、ファンドは最終的にはインベストEUプログラム(InvestEU Programme)のもと、最大20億ユーロ(約2400億円)を調達する可能性があると報じた

現状はリサーチと概念実証が大半

EIFのブログによると、EUはすでにブロックチェーンに大金を費やしている(2019年の支出見込みは6億7400万ドル[約730億円])。だが、その大半はリサーチと概念実証に向けられている。

引用されているインターナショナル・データ・コーポレーション(International Data Corporation)のデータによると、支出はアメリカが最大で11億ドル(約1200億円)、2番目は中国で3億1900万ドル(約350億円)となっている。

今回の新しいファンドは、EUでは「大規模なプロジェクト」にあまり資金が投入されていないという事態に対処することが狙い。

「イノベーティブなAIおよびブロックチェーン企業のポートフォリオに投資することは、AIとブロックチェーンに投資する、EU全体の活力ある投資家コミュニティの構築に役立つだろう。各国の機関を巻き込むことで、国家レベルでの投資規模を拡大することができる」とEIFは述べた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:EU Launches Estimated €400M Blockchain, AI Fund to Avoid Lagging US, China