ソニーフィナンシャルが米セキュリタイズに出資──三菱UFJ、野村、SBI…デジタル証券ベンチャーに群がる日系企業

ソニーフィナンシャルホールディングスの子会社と、ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン(GB)が、共同で設立した投資ファンドを通じて、デジタル証券プラットフォームの米セキュリタイズに出資する。セキュリタイズが4日、発表した。

出資額は明らかにされていないが、三菱UFJイノベーション・パートナーズや野村ホールディングスが参画した、セキュリタイズの調達ラウンドの一環だという。ラウンドで調達した資金は、1400万ドル(約15億円)を超える。

セキュリタイズは既に、複数の大手日系企業から出資を受けており、今後国内で進むブロックチェーンを活用した次世代型・証券基盤の開発を後押ししていく。三菱UFJや野村の他に、SBIホールディングス傘下のSBIインベストメントや、KDDI Open Innovation Fund、三井不動産が運営する31VENTURESもセキュリタイズへの出資を行ってきている。

デジタル証券を広げるセキュリタイズ

ソニーフィナンシャルベンチャーズ・取締役の中村順司氏は、ソニーフィナンシャルはセキュリタイズと共同で「新たな付加価値の創造」に挑んでいくとコメント。デジタル証券の発行・流通プラットフォームの開発を積極的に進める、三菱UFJや野村に追随するかたちだ。

2019年12月、日本を訪れていたセキュリタイズ・CEO(最高経営責任者)のカルロス・ドミンゴ氏は、「(セキュリタイズは)技術プラットフォームを提供していきたい。日本にはさまざまなな出資者が存在するため、そのシナジーを生かしていきたい」と述べている。

また、セキュリタイズは昨年、日本のブロックチェーン企業BUIDLを買収し、日本におけるデジタル証券事業を推進すると発表している。BUIDLはブロックチェーン上のアドレスを追跡して、マネーロンダリング対策を行うツールを開発する企業だが、セキュリタイズは今後、BUIDLのマネロンツールを活用していく方針だ。

スペイン・バルセロナ市生まれのドミンゴ氏はこれまでに、複数のベンチャー企業を立ち上げてきた起業家でもあり、2000年代にはスペイン大手通信会社のテレフォニカ(Telefonica)に勤務し、同社のM&A(合併・買収)プロジェクトにも参画してきた。また、1990年代には、東京工業大学でマシンラーニング(機械学習)などを研究した。

文:小西雄志
編集:佐藤 茂
写真:セキュリタイズのカルロス・ドミンゴCEO(撮影:CoinDesk Japan)