令和時代に読むべき「仮想通貨・ブロックチェーン」を学ぶ5冊

令和時代に読むべき「仮想通貨・ブロックチェーン」を学ぶ5冊

Brady Dale
公開日:2019年 5月 1日 12:00
更新日:2019年 5月 1日 12:00

仮想通貨・ブロックチェーンの新時代を見すえた経済メディアとして、2018年3月に創刊したCoinDesk Japan。今回、編集部は令和時代を迎えた大型連休にふさわしい、仮想通貨・ブロックチェーンを本質的に理解できる5冊を選んだ。

ビットコインの仕組みとは?

仮想通貨とブロックチェーンは、ビットコインから始まったといっても過言ではない。ゆえにビットコインそのものを深く理解することが不可欠だ。まず挙げたいのは、アンドレアス・M・アントノプロス(今井崇也・鳩貝淳一郎訳)『コンサイス版 ビットコインとブロックチェーン』(NTT出版、2018年)。本書は、原題『マスタリング・ビットコイン』の邦訳版『ビットコインとブロックチェーン』から、エッセンスを抽出した一冊だ。

アンドレアス・M・アントノプロス(今井崇也・鳩貝淳一郎訳)『コンサイス版 ビットコインとブロックチェーン』(NTT出版、2018年)

『マスタリング・ビットコイン』は、ビットコインの解説本として世界的に有名。無料の日本語版のPDFもある。ただし冒頭で「主にプログラマ向け」と書かれているように、コードを読めない人にとっては読みにくいものでもあった。

『コンサイス版』は、万人向けの書籍になっている。ビットコインが動く仕組みについて、プログラマでなくとも、地に足のついた理解にいたることができるだろう。マイニングやUTXO(未使用トランザクション・アウトプット)、公開鍵暗号、P2Pネットワーク、ノードの種類、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)、ブロックなど、重要な語彙についても包括的に学べる。最初の一冊として、また迷ったときに振り返る一冊として、おすすめだ。

ビットコインの歴史を知る

ビットコインの仕組みを知ったら、次はビットコインの歴史をたどりたい。ビットコインには、技術に魅せられた人だけではなく、思想に魅せられた人たちもいる。様々な人がビットコインの物語に関わっていることのわかる本が、ナサニエル・ホッパー(土方奈美訳)『デジタル・ゴールド』(日本経済出版社、2016年)だ。

ナサニエル・ホッパー(土方奈美訳)『デジタル・ゴールド』(日本経済出版社、2016年)

本書は、ビットコインの揺籃期を描き出している。ビットコイン以前の電子通貨を皮切りにして、サトシ・ナカモトの創ったビットコインが、どのように世界へ波紋を与えていったのか。主に2009年から2014年に焦点を当てて、インタビューを混ぜながら時系列で描写している。著者のナサニエル・ホッパーは、ニューヨーク・タイムズの記者であり、映画を観ているかのような臨場感が特徴だ。

新しく仮想通貨に触れる人にとって、ビットコインに魅せられた人たちが何を考えているのか、ビットコインの初期の歴史はどのようなものだったか、よくわかる著作になっている。バグへの対応でチェーンを巻き戻した歴史がビットコインにもあった、という意外な事実も面白い。

そもそも貨幣とは何か?

ビットコインは、管理者のいないP2P(Peer to Peer:対等の者同士が通信をすること)の電子通貨である。一方で、現在の金融システムでは、各国の中央銀行が領域内の通貨発行権を独占している。当然、二つの仕組みの間には、摩擦が起きる。岩村充『中央銀行が終わる日』(新潮選書、2016年)は、その摩擦を見つめ、今後どうなるのか見通した書籍だ。

岩村充『中央銀行が終わる日』(新潮選書、2016年)

著者の岩村充教授は、ビットコインと中央銀行の機能を体系だてて考察した。ビットコインの仕組みを「枯れた技術の水平思考」と説明する。つまり、ビットコインは既存の技術をコロンブスの卵の発想で組み合わせたものだと指摘しているのだ。かつて日本銀行にも勤めていた著者は、「景気政策を行う中央銀行という時代が終わるかもしれない」と説く。

ビットコインの限界を指摘しつつ、中央銀行の役割も変わっていくと予測する一冊。仮想通貨に批判的な人も、きっと面白く読めるだろう。

社会的なインパクトを影響を考える

仮想通貨とブロックチェーンのもたらす社会的インパクトは、間違いなく大きなものになるだろう。技術のもたらす社会への影響と、その社会に生きる私たちの認識がどう変わるのかという2点に着目して、以下の2冊を選んだ。

1冊目は、野口悠紀雄『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞出版社、2017年)だ。ビットコインなどの仮想通貨に使われるブロックチェーン技術が、経済社会にどのような影響を与えるのかを的確にまとめている一冊だ。CoinDesk Japanの創刊特集にも登場いただいた著者の野口教授は、技術が社会のあり方を根本的に変えてしまう可能性があることを指摘する。金融にとどまらない、視野の広い考察が目を引く。

野口悠紀雄『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞出版社、2017年)

序章と終章を除いた全10章のうち、半分の5章がブロックチェーンの応用に割かれている点が特徴的だ。「ビットコインの成長」「銀行も導入」「証券業に革命的変化」「事実の証明」「IoT」の5つの分野で、大きな変化が起こると著者は予測する。技術を見て、社会を見て、その上で何が変わるかを説く。

スマートコントラクトやDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散自律組織)など、基本的な概念についてわかりやすく説明している。特に技術者ではない人には、本書をオススメしたい。

2冊目は、斎藤賢爾『信用の新世紀』(インプレスR&D、2017年)である。この書籍は近未来のサイエンスフィクションから始まる。主人公は、貨幣のなくなった2048年の世界にタイムスリップ。現代では当たり前の「広告」がない、世界のありように驚く。

斎藤賢爾『信用の新世紀』(インプレスR&D、2017年)

その驚きの理由や背景は、続く章で解説される。主として語られるのがブロックチェーン技術についてだ。著者はありがちなブロックチェーンの実用例に対して「ブロックチェーンが何であるか、よく理解を得ないままに、自分たちがよく知っていることに引きつけて『解釈』することにより発想されている」と批判する。

本質的に「ブロックチェーンを理解する」とは、どういうことか?著者は「空中に約束を固定するには?」という問いへの現実的な解がブロックチェーンだという。技術の本質的な理解を軸に、人間の認識が変わった後の、整合性の取れた未来像を描いた一冊。

構成:小西雄志
編集:久保田大海